僕の名前は中川政寿。生まれは奈良県北葛城郡です。
現在は、和歌山県田辺市の山奥にある人口2,800人の村・龍神村で、マウンテンハードウェアというアウトドアブランドのアンバサダーとして、トレイルランニングカルチャーの発信をしています。
都市部からフィールドに近い龍神村に移住して、今年で早10年になりました。僕の連載では、この10年で実際に生活や仕事がどう変わっていったのか、みたいなことを書いてみようと思います。
■移住のきっかけは、“村の名前”にワクワクしたから
僕の住む龍神村は、熊野古道で有名な高野山と熊野本宮の2大聖地の中間にあり、和歌山県最高峰の龍神岳と清流日高川を有する自然豊かな村です。龍神村の名前は、役行者(えんのぎょうじゃ)が発見し、弘法大師空海が龍神様のお告げで開いた龍神温泉に由来します。
一部の歴史ツウな方々には、役行者、空海という2人のスター修験者が関わる村として知られていますが、トレイルランナーや登山者にとっては「移住するほどのフィールドのポテンシャルって、実際にどんなん?」と思われるかもしれません。
しかし、僕が龍神村に移住したのは、フィールドに惚れ込んだことだけが理由ではありません。単純に、「龍神村って、名前がかっこいい!」とワクワクしたことが一番のきっかけでした。
■「ここで暮らし続けたい」と思えるモチベーションが必要
みなさんご想像の通り、地方移住でネックになることの一つが、生活を成り立たせるための仕事です。僕も龍神村に移住してから、地域バイトや出稼ぎ、ものづくりと色々な仕事を経験してきました。
結果、現在も続けている活動は3つあります。
1:トレイルランナーとしてツアーやイベントを開催
2:珈琲ロースター
3:さつまいも農家
この3足のわらじで生活をしています。
移住して生活を成立させるためには、お金になる活動をすることは必須です。しかし、惚れ込んだフィールドのそばで暮らし続けるためにもっとも必要なものは、「ここで暮らし続けたい」と思えるモチベーションだと思います。
そのためには、自分が日々の豊かな暮らしを味わうだけでなく、誰かに伝えることが必要です。今を楽しむために、フィールドの近くでの暮らしを誰かに伝える。伝えようとする過程で、自らの暮らしを深く知れるし、伝えることで仲間が増えます。
村を案内した人にフィールドの魅力を満喫してもらえると、僕はやっぱりここに住んでて良かったなと日々感じることができるのです。