今季の雪山は、シーズンインこそ大雪が降ったものの、一部の地域を除き少雪が続いていました。それでも、スキーヤーやスノーボーダーは各地の情報を集め、滑ることができるフィールドを探しては週末ごとに出陣しているようです。

 筆者も良質な粉雪を求め、バックカントリースキーヤーに人気の鍋倉山に出かけてみました。なにかと慌ただしい毎日を送っていたのですが、ブナの森は、そんな日常を忘れさせてくれる包容力で迎え入れてくれたのでした。

■豪雪地帯の山里からスタート

山奥ののどかな集落から出発します(撮影:Ryu)

 長野県飯山市にある鍋倉山は、標高1,289m。山全体が樹齢100年を超える数多くのブナによって覆われているため、一年を通して美しい景色を眺めながら登山を楽しむことができます。なかでも、冬は時に5mにも達する積雪となるため、多くのスキーヤー・ボーダーが集まってきます。

地元の方々のご理解があってこそのバックカントリースキーです。感謝の気持ちを込めて入山します

 筆者が参加したのは、経験豊かなガイドによるバックカントリーツアーです。スキーヤー計4名のパーティーで入山します。

 出発は、温井(ぬくい)集落から。地元団体の方々が、関係者等と話し合いを重ね、鍋倉山への入山に理解をしていただいているとのことです。このようにきめ細かな配慮をしていただいているフィールドはあまりありません。感謝の気持ちを込め、マナーを守って利用したいものです。

 また、現地の情報を入手しておくことも大切です。取材日時点(1月18日)ではどこも積雪が少なそうでしたが、地元団体の方が公開しているサイトを見ると、さすが豪雪地帯の鍋倉山。1月上旬には、頂上の積雪はすでに350cmに達しているということでした。

【鍋倉山の情報サイト】BC鍋倉山フィールド

山を登るため、スキーの裏に滑り止めのスキンを張り付けて歩き始めます
雪が少ないためか、山の下部はまだ藪が濃かったです

 さっそく準備をして出発です。しかし、筆者はシーズンインしたばかりで道具のチェックも不十分でした。ヘルメットゴーグルを忘れてくるという大失態。ゴーグルはガイドにお借りしてなんとかなりましたが、いつも以上に安全に滑ることが求められるスタートとなりました。この時期は、特にチェックリストを使用するなどして、忘れ物をしないように心掛けたいものです。

■ブナの森の美しさを味わいながら

自然にできたであろうブナの幹のハートマークが、ほっこりした気持ちにさせてくれます
沢が埋まり切っておらず、ところどころ穴が開いていました。バックカントリーを滑る際には最も気をつけたいポイントの一つです

 最初は藪が濃かったものの、すぐに鍋倉山らしいブナの森の中を進むようになりました。心が自然と弾んでくるのがわかります。しかし、少雪の影響で穴や沢が埋まり切っていない箇所も点在しています。落ちると命にかかわる事故につながりかねません。そのためにも、現地情報に詳しいガイドツアーに参加するのは安心材料の一つとなります。

あたりは霧に包まれ、下界とはまるで違うおとぎの国のようでした(撮影:Ryu)
山頂部も真っ白で展望はありませんが、いよいよ滑走です!

 高度を上げていくと、木の枝に雪が積もっていたり、霧氷になっていたりして、見渡す限り砂糖菓子の景色となっていきます。さらに霧が広がってくると、子どものころ読んだおとぎの国の世界に迷い込んだような感じになってきました。

 約3時間かけて山頂部に到着しても、あたりは真っ白。晴れていれば日本海が一望できるとのことですが、鍋倉山 3回目となる私は、いつも白い世界しか目にしていません。白い山頂も独特の雰囲気を醸し出してくれますが、青空が広がる山頂にも出合いたいものです。