■伝統製法で作られた調味料を使用
最後は「みんなの食プロジェクト」が開発した「CURRY大槌ジビエ鹿肉カレー缶」を紹介したい。みんなの食プロジェクト(みん食)というのは、小売業5社(大野屋、こしき屋、自然食品F&F、信濃屋、日本百貨店)が協力し、日本伝統の食文化の本質を伝えるために商品開発・販売を行う団体のことだ。
この缶詰の味付けには、木桶仕込みで作られる愛知県の八丁味噌と、壺で時間をかけて発酵させる鹿児島県の黒酢が使われている。鹿肉は岩手県大槌町で捕獲された野生の鹿だ。
■スパイス類の香り高し
マサラ(カレーのスープ)は茶褐色で、いかにもコクがあって味が深そうに見える。撮影したのは気温が氷点下に近い日だったけど、さらさらの状態だった。ひと舐めすると、クローブやカルダモンの香りが広がる。それでいて、プルーンのような甘酸っぱい旨味がある。それが八丁味噌や黒酢のおかげなのか分からないが、誠においしいマサラである。
■ハンターになった気分が味わえる
かくのごとし。カレーはクッカーに中身を移して温めるだけで十分。付け合わせに持ってきたナンは、アルミホイルに包んで熾火の上に置き、温かい状態を保っておいた。こうして簡素な食卓を整えると、まるで自分がハンターになり、仕留めた鹿を食しているような気がしてきた。もちろん妄想なんだけど。
この大槌ジビエ鹿肉カレー缶は、マサラが抜群においしいが、鹿肉はちょっとモソモソ感がある。もともと、鹿肉は豚肉や牛肉と比べると脂がかなり少ないから、脂の旨味を求めてはいけないのだ。肉をほぐしつつ、マサラをたっぷりまぶして食べれば良い。
いずれにしろ、焚き火に似合うという点では最高峰の缶詰かもしれない。