福島県のほぼ中央に位置する磐梯山(ばんだいさん・標高1,816m)は、日本百名山の一座に名を連ねるほか、東北百名山や会津百名山にも選ばれている。きれいな円錐形の山容から「会津富士」とも呼ばれている。火山でもある磐梯山は、荒々しい一面をもっており、1888年の大噴火による岩なだれにより檜原湖(ひばらこ)や五色沼など300余りの湖沼群を生みだしたとされている。今回はそんな磐梯山に最短で登れるルートを紹介したい。
■標高1,194m地点・八方台登山口から目指す磐梯山

猪苗代磐梯高原ICを降りて約35分、磐梯山に最も近い登山口、八方台駐車場に到着する。筆者が到着したのは朝8時前だったが、晴天の土曜日ということもあり、第一駐車場は満車だったため、第二駐車場に駐車した。八方台登山口は標高が約1,194m地点にあるものの、夏場は蒸し暑さを感じる。
八方台登山口からは隣の猫魔ヶ岳(ねこまがだけ・標高1404m)への登山道もあるため、間違えないようにしたい。新緑から初夏への移行期は鳥の鳴き声が賑やかだ。背の高い木々が葉を茂らせており、登山開始からしばらくは紫外線を避けて快適に登ることができた。

登山口から40分、硫黄の香りが漂ってきたと思ったら中の湯に到着した。かつては宿と野湯があったが現在は廃業しており、建物跡が残る。
■4合目で汲める湧水は絶品! 弘法清水で喉を潤し山頂へ
中の湯からは勾配が急になり、登りがいのある区間になる。登山口から変わらず樹林帯の中を歩くが、標高を一気に上げるため、木々の間から望む景色も高度感を感じられるようになる。

中の湯から約1時間15分で4合目の弘法清水小屋(こうぼうしみずごや)に到着する。理由は定かではないが磐梯山は5合目を山頂としている。一説によると噴火を繰り返して標高が半分になったからと言われている。
5合目が山頂ということは4合目までやって来たため、山頂まではあと少しのはず。だが侮ってはいけない。ここから山頂まで一層急な登りが待っているため、しっかりとエネルギーを補給してから山頂を目指そう。

4合目の弘法清水小屋は4月下旬から11月中旬まで営業している売店で、食事や飲み物、お土産の購入も可能だ。
売店で飲み物を購入するのもいいが、筆者がおすすめしたいのは湧き出る水場「弘法清水」だ。非常に冷たく、急な登山道を登ってきた体には格別に感じられた。小屋の周りには休憩できるスペースがあるため、弘法清水を汲んで休憩をしてから山頂へと望みたい。