軽自動車で車中泊をするようになって10年以上が経過した。

 キャンピングカーでも普通車でもなく、筆者はダイハツの「ウェイク」という軽ワゴンに乗っているので、車中泊を快適にするには工夫が必要だ。

 試行錯誤の末にようやくたどり着いたのは、車内にリビングとベッドスペースがある、極めてシンプルな「ワンルームレイアウト」。今回はその全容と、快適さをさらに格上げする工夫について紹介する。

■軽自動車は狭い。だがメリットもある

軽自動車はいうまでもなくコンパクトであるが、当然狭い

 そもそもなぜ軽自動車なのかというと、一番は維持費が安いからである。普通車に比べると自動車税、重量税ともに安い。小型貨物自動車の軽バンはもっと安いが、初回の車検期間は軽バンが登録から2年に対し、軽ワゴンは3年。車検料金を支払う機会は、軽ワゴンのほうが1年遅くやってくる。

 車幅がコンパクトで小回りが利くので、道路や駐車場が狭い場所でも運転しやすい。なかでもウェイクは、室内高が1,455mmと軽自動車ではトップクラスで、車内空間が広く使えるのだ。

■車中泊レイアウト:目指したのは快適リビング化&寝室化で「走るワンルーム」

助手席側シートを倒すと簡易テーブルになるが、低い。手づくりの折りたたみテーブルを置いている。不要な荷物はダッシュボードや天井収納に

 車内は助手席側をリビングスペースにし、運転席側をベッドスペースにする。これがレイアウトの基本だ。そして、筆者がリビングに追い求めてきたのは、テーブルとソファ席があるという快適性である。

 まず、テーブルとしたのは助手席部分だ。ウェイクでは、助手席の背もたれを前に倒すと背面がテーブルとして使える仕様になっている。が、そのままだと高さが無く、食事の際は使い勝手が悪いため、自作した高さ30cmほどの折りたたみテーブルを、背面に置いて使用している。食事をするときは、助手席側の後部席に座る。つまりここがリビングのソファだ。さらにソファ左側のドアは、車中泊時の出入り口。靴を履いたまま出入りができるため、なにかと便利である。

 さて、眠くなったらそのままゴロリと寝たい、という欲求を満たせるよう、運転席側はまるまるベッドスペースとしている。前後座席を倒してベッドにするのだが、ハンドルが邪魔になりそうなスペースをベッドにできたのにも、理由と工夫がある。

■軽自動車でも体を伸ばして眠りたい:あえて運転席側がベッドの理由

 一般的に軽ワゴンは軽バンに比べると荷室が狭いため、前後シートを倒さないと筆者のような身長180cmほどの人間が横になれるスペースは確保できない。

 運転席側をベッドスペースとしたのは、ウェイクの場合、運転席シートに背もたれと一体化したひじ掛けがあり、この分シートを倒したときに助手席シートより横幅が広くなるからである。幅があると寝返りもしやすく、寝やすさが違ってくる。

 倒したシートの段差には、クッションや厚手のインフレータブルマットを用いて凹凸を解消。ゴロリと横になれば快眠が待つベッドスペースの完成である。