八ヶ岳は南北に25km、およそ20の峰々からなる山域だ。その中で真ん中あたりに位置しているのが「硫黄岳(いおうだけ・標高2,760m)」だ。

 今回は、日帰りで硫黄岳に登るルートを紹介する。山頂からの大展望と北側の切れ落ちたような大岩壁は、硫黄岳でしか見ることのできない絶景だ。

■桜平登山口からの日帰りルート

 紹介するのは「桜平(さくらだいら)登山口」からのルートで、オーレン小屋を起点に赤岩の頭、硫黄岳、夏沢峠を経由し周回するルートだ。

 所要時間は約6時間20分で、標高差は866m、距離は9.2kmほど。八ヶ岳の中で4番目に標高の高い硫黄岳だが、山頂までは道迷いや危険な箇所も少なく、八ヶ岳の中でも挑みやすい山だ。

今回歩いたルート

 桜平登山口周辺には駐車場が点在しており、登山口に近い順に「上」「中」「下」となっている。駐車場までは未舗装路なので、運転には気をつけてほしい。桜平「下」の駐車場は登山口から3.5km離れているため、万が一「上」と「中」が満車になってしまうことも考え、時間に余裕をもって早朝から行動したい。筆者が訪れた時は、朝6時に到着した時に桜平「中」駐車場にギリギリ駐車することができた。

桜平登山口から600mほど離れた桜平「中」駐車場。未舗装だが整備されており、トイレも設置されている

■オーレン小屋から赤岩の頭へ「南八ヶ岳」の盟主が望める展望地!

 桜平登山口からオーレン小屋までは約1時間30分、途中、夏沢鉱泉(なつざわこうせん)までは車が通れる林道になっており、夏沢鉱泉の関係車両の往来もあるので気をつけて歩きたい。

 夏沢鉱泉からは道幅は狭くなるが、オーレン小屋まで物資を運ぶための重機が通るので、登山道としては整備されており、歩きやすい。

樹林帯の中で開けたところに見えてくる「オーレン小屋」

 オーレン小屋は4月下旬から11月上旬まで営業している山小屋で、水場があるほか、飲み物などの購入ができる。ベンチなども設置されているので、休憩するのにぴったりな場所だ。

■森林限界を越え、硫黄岳山頂へ

赤岩の頭から望む硫黄岳。夏空の青と草木の緑のコントラストがすばらしかった

 オーレン小屋から硫黄岳へと続く登山道は二本あり、今回は赤岩の頭を経由し、硫黄岳を目指す。オーレン小屋からは人が一人通れるほどの登山道となり、高度を上げるにつれて勾配も急になってくる。危険な箇所はないが、一部、階段が破損しているので気をつけて歩きたい。

 シラビソがメインだった樹林帯からハイマツに主役が変わり、ハイマツの背がだんだんと低くなってくると赤岩の頭(あかいわのかしら・標高2,656m)に到着する。オーレン小屋からは約1時間10分。

 赤岩の頭からはこれから登る硫黄岳や横岳、赤岳(あかだけ)、阿弥陀岳(あみだだけ)など、南八ヶ岳の眺望がすばらしい。

赤岩の頭から望む南八ヶ岳の盟主

 赤岩の頭までくると森林限界を超え、見晴らしがよくなるとともに日差しもよく届く。紫外線対策をしっかりしてから山頂に向かいたい。

 赤岩の頭から山頂までは約25分、横目に南八ヶ岳、振り返ると北アルプスや御嶽山(おんたけさん)の景色を楽しめるので、あっという間に山頂に到着できた。