岩手県の盛岡市内を車で走ると、ひときわ目立つ山が見える。「岩手山」だ。関西から訪れた筆者にとってもその存在感は一目でわかるほど圧倒的だった。
岩手山は外から見える力強い印象と異なり、山中には可憐な花が咲き乱れて登山者の目を楽しませてくれる。
この記事では、岩手山の人気ルートの一つ「柳沢コース」を紹介する。
■岩手県のシンボル(岩手山・岩手県滝沢市)
岩手県の最高峰、「岩手山(いわてさん・標高2,038m)」は「南部片富士(なんぶかたふじ)」とも呼ばれている。きれいな裾野をひく東側に対して、反対側はゴツゴツとした稜線を持つ。
6月下旬の早朝5時、平日にもかかわらず柳沢コースの「馬返し登山口」駐車場には多くの車が停まっていた。
登山口では「鬼又清水(おにまたしみず)」がとうとうと湧き出ている。東屋の軒下には薪が積まれ、八合目避難小屋では薪が不足しているらしい。看板には「ご自分の体力にあわせて、薪の荷上げにご協力お願いいたします」と書かれており、筆者も薪を一本荷上げすることにした。
暑さに体を慣らしながら、ゆっくりと登り始める。道標が見え、そろそろ1合目かなと思っていたら、なんと0.5合目。最初の25分間で到達できたのは0.5合目と知り、思わず肩を落とす。他の山ではあまり経験しないような細かな区切りに、先の長さを感じた。
2.5合目から登山道は新道と旧道に分かれる。岩場登りの旧道に対して、新道は樹林帯を切り開いて作られたルート。岩場のある旧道を登り、新道は下山に使うことにした。