<中川さんがやっちまった半農半Xの失敗談「後編」はこちら>

 田舎暮らしといえば、農業が身近にある生活をイメージする方が多いのではないでしょうか。僕も和歌山県の山奥に移住し、農業を生業の1つにしています。しかし、元々は農業をするつもりで移住をしたわけではありませんでした。

 では、僕が一体どのような経緯で「半農半X」のライフスタイルを送り始めたのかについて、お伝えします。

■きっかけは先輩との何気ない会話から

休耕田を活用してさつまいもを作り始めました

 僕が移住した和歌山県・龍神村には、過疎高齢化によって手を入れられなくなった休耕田がたくさんありました。この休耕田をいかに活用するかは、うちの村だけでなく、全国各地の田舎が抱える大きな問題の1つでしょう。

 農業を始めたのは、ある日、以前働いていた職場の先輩との何気ない会話がきかっけでした。「もし、さつまいもを作ってくれたら、うちで買うよ」と言われたので、村にある休耕田を生かしてさつまいも農家をやってみようと思いたったのです。

 当時は、村へ移住して珈琲の焙煎をビジネスにし始めた頃。すでに、その先輩が大阪市内でやっているやきいもカフェ「蜜香屋」に珈琲豆を卸していました。先輩としては、僕の生活が少しでも安定するようにとの応援を兼ねた提案だったようです。以降、一緒に「豆んと森珈琲」の事業を共同で運営するビジネスパートナーにもなりました。

■農業の経験はほぼなかった

休耕田を開墾している様子。最初はこんな状態でした

 始めるにあたり、僕に農業の経験はほぼありませんでした。大学時代に入っていた環境教育サークルの友達が何人か農家をしていて、卒業してから何回か彼らのところに手伝いをしに行ったことがあったくらいです。また、移住前に「WWOOF(ウーフ)」という農業手伝いと宿泊をセットにした体験ツアーに参加したことはありました。

 土づくりに関しては、セミナーに行って納豆菌を利用した土づくりの勉強をしました。納豆菌を使った土づくりは、現在でこそ普及しつつありますが当時はまだ知られておらず、土づくりってなんて奥が深くて面白いんだと感動しました。

ほぼ独学ですが、こんなにたくさん収穫できました

 農業の現場で必要なこと(草刈りや機械の使い方など)は、村の周りの畑の方々から学びました。葉物野菜や果樹と違い、さつまいもは植えたら育ってくれるので、そこまでコツは必要ありません。畑を始めるのにはおすすめです。

 僕がラッキーだったのは、開業当初から「安定した卸し先」が確保できたことです。安定した卸し先があってこそ、生産者側は大量に農作物を作ることができます。大量に作れるからこそ、さらに知り合いに少しずつ販売して、販路を広げていく余裕も出来ました。

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