今年は桜が咲いたと思ったら一気に寒くなったり、週末は天気が大荒れになったり。なんだかんだで、お花見をすることができなかった方は多いのではないでしょうか。私もそんな一人。このままお花見をしなかったら、なんだか気持ちよく夏を迎えられなさそうです。

 そこで、とある考えに至りました。標高が高いところなら、まだ満開の桜が残っているんじゃないか? 今回は「山の上なら5月でもお花見ができる」説を検証してみます。

■丹沢にはまだ桜が咲いているらしい

目的地は檜洞丸に決まり

 東北や北海道まで行けば、そりゃ5月でも桜が見られるところはあるでしょう。しかし、それじゃ時間的&経済的な余裕がなければなりません。桜を見るためだけにそこまで行くのはちょっとね。理想は欲張りに“首都圏近郊で”見たいのです。

 そうとなれば、標高を上げるしかありません。調べてみると西丹沢の稜線上や山頂で桜が見られるところがあるようです。なかでも、5月に桜が咲いていたという記録がいくつか見つかった「檜洞丸(ひのきぼらまる)」という山を目指しました。

 檜洞丸は丹沢主稜線にある山の1つで、標高は1,601m。丹沢エリアのなかで4番目に高い山です。5月下旬から6月にかけては、ツツジが山を彩る山としても有名です。

■西丹沢ビジターセンターが登山の起点

ツツジ新道は今がちょうど気持ちのいい新緑の季節でした

 いろいろなルートがとれますが、メインルートは西丹沢ビジターセンターからスタート。林道を少々歩いて、ツツジ新道入口という登山道から登り始めます。この分岐は見落としやすいので、ご注意ください(実際に通り過ぎてしまい、慌てて戻りました)。

 尾根に取り付いたら、そこからは先は3〜4時間、ひたすら登ります。ビジターセンターの標高は540mなので、そこから標高差1,000m以上を一気に登ります。なかなかのしんどさです。

ルート上にはブナの巨木が点在しています

 しかし、ツツジ新道はよく整備されていて歩きやすく、沢の渡渉があったり、ブナの巨木が立ち並んでいたりと飽きさせません。風が吹き抜ける新緑の森歩きがとても気持ちが良い季節でした。

 歩き始めはもう初夏のような陽気でしたが、標高1,200mを超えたくらいから木々の葉の色が柔らかい緑に変わり、あたりにはまだ春の雰囲気が残っていました。なんだか、期待できるかもよ!

■山頂で満開の桜を発見!

稜線上は木道が続きます

 稜線に出てからは、よく整備された木道歩きが続きます。まだ樹上にブナの葉が生い茂っていないので見通しがよく、歩きながら丹沢の主稜線や西丹沢の山々がよく見渡せます。足元にはオオバイケイソウの群落。こちらはツツジと入れ替わるように咲き始めるようです。

やっと辿り着いた山頂の向こうに見えるのは桜?

 20分ほど稜線を歩くと、檜洞丸の山頂に到着です。山頂の看板と共に、ありました! 桜がまだ咲いているではありませんか。ちょっと満開は過ぎている感がありますが、紛れもなく、桜です。あとで調べてみたところ、街で見慣れたソメイヨシノではなく、山に咲くマメザクラという品種のようです。たしかに思い返してみると、なんだか花が少し小さかったような気がします。

この株はちょうど満開でした

 ペロンとした山頂周辺を散歩してみると、もっと満開に近い株を発見。都合よくベンチもあったので、お昼ご飯はここでお花見弁当とします。5月の首都圏でも、満開の桜の元でお花見ができる場所があるとは思いもしませんでした。山でならまだお花見できる説、立証です。

1か月少々遅れてのお花見。最高のロケーションでした