平年を大きく上回る暑さが続いた9月から、10月に入って気温は急降下。各地の山々からは、早くも初雪の便りが届き始めています。
これからの時期は、夏は暑すぎて登る気にならなかった低山ハイキングにちょうどいいタイミングです。登山者視点でいうと、標高が低い山=つまらない山というわけでは決してありません。登りごたえや面白い特徴のある低山もたくさん存在するのです。
今回はその中から、標高が300m台なのに登りごたえとスリルがあり、しかも首都圏からもアクセスしやすい名低山の1つ、“房総のマッターホルン”こと「伊予ヶ岳」を紹介します。
■千葉県内で唯一「岳」の字を冠する山
伊予ヶ岳は千葉県南房総市にある、標高336.3mの岩峰です。
なんと言っても、特徴は“房総のマッターホルン”の別名を与えられるほどの鋭い姿。標高500mに満たない山ながら、千葉県内で唯一「岳」の字を冠する山であること、関東百名山に選ばれていることからも、その魅力のほどが窺い知れるでしょう。
他にも“只見のマッターホルン”こと「蒲生岳」や、“上越のマッターホルン”こと「大源太山」など、マッターホルンの別名を持つ魅力的な山は数多くありますが、なかでも首都圏からもっとも近いのが房総のマッターホルン。車であれば、都内から1時間半ほどでアクセスできます。
登山口はいくつかありますが、南側にある平群天神社(へぐりてんじんじゃ)から登り始めるルートが一般的です。ここから1時間ほどで山頂に立つことができるのですが侮るなかれ。1時間の間にスリル満点の鎖場あり、足がすくむような高度感あり、360度の大展望ありと、大満足のルートなのです。
■スタートは、設備が整う平群天神社からがおすすめ
登山口の平群天神社には、登山者用の駐車スペース(15台分ほど)と公衆トイレ、水道も備えられています。バスでもアクセス可能ですが、本数はかなり限られるので、マイカーでのアクセスをおすすめします。
登り始めから山の中腹にある休憩所の東屋までは、至って普通の、低山によくある登りやすい登山道が続きます。道迷いの心配もない一本道です。東屋は展望台になっていて、下の集落や田園風景がよく見渡せて、これはこれで綺麗なのですが、この山の真価はここから先にあります。