■圧力を加えて内部まで熱を通す

上からスパチュラで押さえながら焼く

 サンドイッチ状態になったパンを、再び炭火で焼く。この時、パンの上からスパチュラで押さえたり、水を張った鍋をのせたりして、適度な圧力を加えながら焼くのがアメリカ流だ。おそらく内部に素速く熱を通し、チーズを溶かすためだと思う。パンが潰れない程度の圧力で十分だ。

■とてもウマいが改良できる点もあり

チーズが溶ければ缶成!

 かくのごとし。玉ネギがはみ出して不格好だけど、まあ良し。

 さっそくいただくと、最初にカリッと焼けたパンの香ばしさがあり、次にチェダーチーズの濃厚な風味と、ツナ(本まぐろ水煮)の素朴な味わいがやってくる。玉ネギとセロリの鮮烈な風味が好ましく、この2つは必須。粒マスタードの辛味も良かったし、トータルでじつにウマい。

 ただ、半分ほど食べたところで、チェダーチーズの強い味に飽きてしまった。チェダーチーズだけでなく、すっきりした風味のモッツアレラチーズも加えたほうがぼくの好みに合いそうだ。

 また、本来はパンを焼く際にバターか植物油を使うのだけど、今回は面倒なので省いてしまった。後日、あらためてバターを使ってトーストしてみたら、ミルキーな風味が加わってとても良かった。ツナ缶もごく一般的ものを使ったが、それでも十分おいしかった。

 ツナメルトを食べていて、ふと思い出した映画がある。70年代か80年代のアメリカのロードムービーで、男が旅先のダイナーでツナメルトを頬張るシーンがあったのだ。旅の高揚感と、ちょっとした郷愁がにじみ出ていて、いかにもアメリカ的な雰囲気だった。

 ツナメルトが文化的アイコンというのも、何となく頷けるのであります。

●今回の缶詰情報

髙木商店「本まぐろ水煮・ツナ缶詰 90g」