4月15日に黒部立山アルペンルートが開通した。私の住んでいる長野は、4月中旬に桜が満開となり、すっかり春の気分だったが、まだまだ雪山遊びを楽しみたい私は厳冬期の装備で立山へと向かった。

 今年は雪が多く「雪の大谷」は16mの雪の壁となったようだ。オープンしてからも降雪が続き、富山県側のルートは除雪に追われ一時は通行ができなかった。長野県民の私は扇沢駅から室堂へ向かうため、雪の影響を受けずに行くことができた。珍しい雪景色を見ようと、インバウンドの観光客で溢れかえっていた。日本の魅力はやはり四季の景色なのだと実感する。ここは日本でもとても雪深い場所なので、室堂を訪れて景色を見るだけでも最高のロケーションだ。

■360度の雪景色は異世界

白銀の雄山と浄土山

 室堂駅から一歩出ると、真っ白な雪山が澄んだ青空に照らされて、直視できないほどの眩しさだ。乗り物を乗り継いで異世界へやってきた感覚になる。白銀の山肌が煌めいて美しいこの景色を目に焼き付けた!

 360度の雪景色に魅了されながら賑やかな室堂をあとにして、静かな雷鳥沢キャンプ地へと向かった。雷鳥沢キャンプ地までは道が作られており整備されていた(アイゼンを付けなくても大丈夫だった)。トイレも掘り返して使えるようにと作業をされていた。雷鳥荘や雷鳥ヒュッテの売店やトイレも利用でき、日帰り温泉に入ることもできるので、数日間滞在してのんびり過ごすこともできる。ここは本当にありがたいキャンプ地だ。

道は圧雪されて歩きやすくなっています
絶景の中のテント。装備は厳重に

 今回使用するテントは4シーズン使える、新ブランド「アラタ」のAX-75。小柄な人向けのコンパクトなソロテントだ。私は身長が165cmで、このテントは軽いことと使用感もちょうどいいのだ。

■誰にも刻まれていない斜面

自然の神殿、奥大日岳

 長い冬に閉ざされていた立山をスノーシューでハイクしよう! 青空にくっきりと浮かび上がる白さはまるで自然の神殿のようだ。今回は奥大日岳の方面へ登っていった。

 スキースノーボードを使ったBCのトレースは剱御前方面に向かってたくさんあったが、奥大日岳へ向かった跡はなく、生クリームのように白い雪がふわふわと気持ちよかった。

乗越から見渡す立山

 急登を登り切り、乗越(のっこし)へ上がると立山を一望することができ、あまりの絶景に言葉が出なかった。一歩も踏み跡のない奥大日岳、その真っ白な斜面は聖域のようにも感じ、自分がそっと招かれたような錯覚さえした。この景色を見ることができて満足してしまった。