2025年が始まり、新たな希望や挑戦を抱いている方が多いのではないでしょうか。私は「絶景を届ける」というテーマを持って、山に登っていきます。

 自然の美しさや雄大さの中に身を置くことの大切さをいつも感じ、この素晴らしさを共有したい、見た人に元気になってもらいたい。今年は単なるレポートとしてだけではなく、登山の達成感や喜びなどの素晴らしい体験を伝えるべく「私が出会った景色の写真」と「絶景と共に味わう一杯」を添えてお届けしていこうと思うので、もしよければお付き合いください。

■冬の北アルプスに挑戦!

北アルプス三大急登のひとつ「合戦尾根」を登っていく

 燕岳は北アルプスの名峰で、標高2,762mの山。宮ゲートが冬季閉鎖になりアクセスはしにくくなるが、燕山荘は年末年始営業をしており、燕岳は初日の出スポットとしても人気がある。クリスマスケーキや餅つきや書き初めなどイベントも多くあり、一年の締めくくりや新年のスタートを燕山荘で過ごすことは、登山者にとって一生の思い出となるだろう。

 宮城ゲートから林道を5時間ほど歩き、中房温泉で一泊して、翌日に燕山荘へ向かう行程や、健脚な人はゲートから1日で燕山荘へ登る人もいる(行程は自身の体力や経験に基づいて判断してほしい)。

 今年は雪がたくさん降っており、駐車場からくるぶしほどの深さの雪が積もっていたため、一歩一歩が重かった。天候次第でも条件が変わってくる雪山は装備が重要である。特に寒さ対策をしっかりと行い、バラクラバゴーグル、マイナス気温に耐えられるグローブ、適切なレイヤリング、ハードシェル、アイゼンピッケルなど慎重な準備が求められる。

■達成感と安堵

完全防備のハイカーミカ! 「荷物が重いな……」と思っている

 登山口からはアイゼンを装着した。重たい装備に深い雪……。思うようには進まない。第一ベンチ、第二ベンチとベンチ毎が休息の目安になって、そこまで頑張ろうと思いながら登っていく。静寂の中で雪を踏みしめながら進むと心を落ち着け、深いリフレッシュ感をもたらしてくれる。

 合戦小屋から上は稜線になるので装備を変え、肌を出さず全てを覆い、ピッケルに持ち替える。私の登った日は吹雪で景色は全くなかった。「槍の穂先が見えてるはずなのに」と思いながら、足元だけを見てゆっくりゆっくり進み、うっすらと燕山荘が見えた瞬間、「やっとここまで来た」と安堵感が広がった。燕山荘の直下の階段が埋まった急登も待っていたが、ピッケルを刺して最後の力を振り絞った。

 ようやく燕山荘に辿り着き、玄関を開けると山小屋の方々の温かく迎えてくれる空気に包まれた。「ここに来てよかった」と思える瞬間だった。ホッとしながら登山靴を脱いだ。山小屋の中は、木の温もりを感じる壁や床や家具、おしゃれなランプ、目を惹く大きな写真……。登山の過酷さを忘れさせ、安らぎを与えてくれた。