新年を迎え、本格的な冬山シーズンとなっています。登山の目的は人それぞれですが、美しい景色、迫力ある山の写真を撮りたくて登る人は多いでしょう。長野県を中心に全国各地の名峰へ精力的に登山、撮影を続けているhykemika_yさん。昨年、2024年は60座以上に登ったそう。その写真の中から、とくに思い入れのあるカット、ベストショットをいくつか選んでいただきました。【後編:秋〜冬山】
苦労して登らなければ出会えない印象的な山々の表情。目の保養に、はたまた今年の山行計画の参考に、美しい日本の山の景色をご覧ください。
【前編:冬〜夏山】はコチラ https://bravo-m.futabanet.jp/articles/-/125975
■思いがけない幸運! 中秋の名月をパール富士で
9月の登山日和な季節に南アルプスの悪沢岳、赤石岳、聖岳を3泊4日で大縦走した。この一枚は赤石岳で撮影したもの。赤石岳とは静岡県と長野県の境界に聳える南アルプスを代表する標高3,120mの山。こちらも日本百名山の一つ。
赤石避難小屋の小屋番さんも「今年一番の景色だった」と小屋締めのあとに太鼓判を押していた景色。夕焼けを撮影しようと小屋泊の方々との晩酌を切り上げて、避難小屋から出て山頂へ向かうと富士山の真上に月が昇っていたのだ。少しでも遅ければ、月の位置がズレてしまい見られなかった。そして、偶然にも中秋の名月の日だった。“たなからぼたもち”的な幸運に恵まれた一枚なのだ。
■未踏ルートを繋げる! 八峰キレットに挑戦
八峰キレットとは、鹿島槍ヶ岳と五竜岳を繋ぐ稜線のルートのことで、三大キレットの一つと言われている。私は今までにその南北の稜線は歩いていたのだが、その部分だけ空白だった。鹿島槍ヶ岳南峰から眼下に見えるこの未踏の稜線に思いを馳せながら撮影した。
口ノ沢のコルまで300m下り、キレット小屋からまた300m登り返すのはハードだったが、岩稜沿いの道は緊張感のある楽しいルートだった。今はこの一枚の写真を見ると、歩いた景色も思いだせるようになった。