キャンプ飯がマンネリ化していないだろうか。キャンプといえば炭火でバーベキューが定番だが、いつも同じようなメニューでは飽きるし、面白みがない。

 たまには遊び心を加え、よそ行きのような料理で、おしゃれに演出してみたい!

 そう考えた筆者は思いつきでイタリアンフルコースメニューの再現に挑戦することにした。

 ただし、コスパ重視派(貧乏キャンパー)としてはなるべく出費を抑えるという点は重要だ。知恵と工夫で乗り切ることを目指した。 

■「イタリアンフルコース再現キャンプ飯」の基本ルール

 ・予算は1,000円以内
 ・食材は現地付近のスーパー等で購入。自宅からは持ち出さない
 ・調味料(スパイスやソース類を含む)や油は自宅から持参OK
 ・ソロクッカーとワンバーナーで調理する

●【基礎知識】イタリアンフルコースの基本構成

 イタリアンについてはほぼ知識ゼロだったので、今回改めてリサーチしたところ、コースの基本構成はおおむね以下のようだった。

 ・ Antipasto(アンティパスト:前菜)
 ・ Primo piatto(プリモ・ピアット:最初の料理)
 ・ Secondo piatto(セコンド・ピアット:メイン料理)
 ・ Dolce(ドルチェ:デザート)

 食前・食後酒とコーヒーが付くが、これらは省略した。

 キャンプなのでシンプルに、かつスピーディーに調理できそうなオリジナルメニュー4品を試作し、山での再現に挑んだ。

■Antipasto「アボカド&カプレーゼ・セルクル仕立て」

まずは前菜。トマト、チーズ、アボカドの共演「アボカド&カプレーゼ・セルクル仕立て」ノンアルコールワインを添えて。試作段階より盛り付けがやや雑に

 見栄えするポイントは手作りの道具「セルクル」である。筒状の底のない型で、市販もされているが、今回はペットボトルで自作した。

 トマト、ベビーチーズ(クリームチーズ入り)、アボカドを細かく刻み、順番にセルクルに詰めるだけで完成! 塩、コショウ、オリーブオイルで味付けした、シンプルだが素材同士が引き立てあう、爽やかな前菜である。

 アウトドアナイフで調理したので、試作のものよりやや荒い仕上がりとなった。 

■Primo piatto「スパゲッティ・アッラッサッシーナ風」

「スパゲッティ・アッラッサッシーナ(暗殺者のパスタ)風」。辛くて刺激的な味わい。これもセルクルで高く盛り付けると、見栄えがよい!

 プリモピアットはパスタ、リゾットなど主食的なものが多い。一時流行した「暗殺者のパスタ」“風”にした。

 本来ニンニク・唐辛子・トマトペーストが必要だが、タイ発祥のチリソースである「シラチャーソース」とトマトケチャップで代用した。

 パスタは100g、シラチャーソースとケチャップは各大さじ1強といったところだ。

 正式なレシピでは、時間をかけてパスタを炒め焦げめを作るのだが、今回はキャンプ飯だ。時短のため、パスタは水漬けにしておき、オリーブオイルと上記の調味料を加えて炒めた。パスタが固い場合は、水を少量ずつ加えながら仕上げるとよいだろう。  

 これも先ほどのセルクルで高見えさせることができる。

■Secondo piatto「チキンソテー・ハーブソルト」

メインは「チキンソテー・ハーブソルト」。ジューシーで美味!

 メイン料理は、この日安かった鶏もも肉だ。ハーブソルトとオリーブオイルでマリネして焼いた一品。

 ソロクッカーでこまめにひっくり返しながら焼き、9割程度火が通ったら蓋をしてしばらく休ませるのがやわらかく美味しく仕上げるコツである。焼き時間は肉のサイズにもよるが、皮面を5分、反対側を3分ほど。

 これは間違いない味。ジューシーかつ、皮がパリッとして、美味である。

 正直なところ、この時点で胃袋が限界に近かった。