新婚旅行探しをきっかけに憧れを持った「ミルフォード・トラック」。第1回のツアー全体概要と初日レポートに続き、第2回ではツアー2日目と3日目をレポートします。

第1回|世界遺産の“世界一美しい散歩道”「ミルフォードトラック」体験記・全体概要&1日目──夢のトレイルへ出発!【5/28 山小屋ネット予約開始】

 2日目は、約16kmで約7時間の行程です。小さなアップダウンはあるものの標高差はほぼなく、透き通ったクリントン川に沿ってブナの原生林を歩きます。

 また3日目は、標高差約700mの峠越えがある約15kmの行程で、一番ハードな日です。約7~8時間かけてロッジに到着後、ニュージーランド最大の滝「サザーランドフォールズ」に希望者は行くことが出来ます。滝は往復1時間半の行程です。この滝はかなりのオススメポイントなので、ぜひ見に行って欲しいです!

ミルフォードトラックツアー全体の標高差グラフ

■ツアー2日目:ランチを作り8時半に出発

 朝目覚めると外はまだ薄暗く、キンと冷えた空気に包まれていました。毎日朝食会場で、その日のランチで食べるサンドイッチを作ります。具やソースを自分好みに組み合わせるのが楽しく、筆者はずっしり重たいサンドイッチを2個作りました。

朝食を食べる前に、ランチのサンドイッチを自分で用意します

 朝食はパン、シリアル、豆料理、温かいベーコンやオムレツなどが並び、好きなものをお皿に取るスタイルです。その後荷物をまとめて準備を済ませ、8:30〜9:00の間に各自出発します。ガイドさんは必ず先頭と後尾に1名ずつ、中間に2名の体制で一緒に歩き、先頭のガイドさんに続いて自分のペースで歩いていきます。

■世界一美しい散歩道であることを実感

 この日は透明度が高く美しいクリントン川を右手に見ながら、比較的平坦な道が続く原生林を進みます。約50名の参加者がいますが、歩き出すと散り散りになりほとんど誰にも会うことはありませんでした。

歩道が整備された美しいブナの原生林を歩いていきます

 朝は肌寒く、気温は約5℃。薄手のフリースにウィンドジャケットを羽織り手袋をして出発。一変して日が出ると一気に気温が上がり、体感は20℃くらいに。「1日の中で四季を感じられる」というガイドさんの言葉に納得です。

 歩き始めると、右手に流れるクリントン川の水が驚くほど透明で、清々しい空気も相まって早速癒されます。とても静かで鳥の鳴き声がよく聞こえ、尾が青い美しい鳥が何度か姿を現しました。原生林には苔がびっしりと生え、生命力が溢れます。

 まさに“世界一美しい散歩道”だ! と思いながら、整備された歩きやすい道を進みます。クリントン川の景色は上高地の梓川、原生林は屋久島に似ているかもと感じました。

原生林に沿うように流れるクリントン川。川底が透けるほど透明です
どことなく上高地の梓川に似ていると思いませんか?

 景色をゆっくり眺めたり写真を撮りたいと思いつつ、他の方のペースが思いのほか早く、のんびりし過ぎずに歩きました。

 ミルフォードトラックは、年間を通じて200日を超える降雨があり、年間平均7,000~8,000mmもの降水量がある地域です。そのため苔やシダ植物がよく育ち、トレイルには大小の沢がありました。雨量が多いと腰までの水位の川を渡る時もあるそう。

太陽と雨により苔やシダがよく育ち、沢も多いです

■12時半 ランチ休憩でサンドイッチを頬張る

 ブナの原生林を抜けたあたりでランチ休憩を取るヒレレ小屋に到着します。天気も良かったので小屋を抜けた先に広がる庭のような草地に腰を下ろし、ガイドさんが用意してくれた有難いコーヒーと自分で作ったサンドイッチを頬張りました。目の前には美しい川と山が広がり、いつまでもここに居たいと思ってしまうほどリラックス。

自分で作ったサンドイッチが身体に沁みます
飛ばない鳥「ウェカ」は人懐こく近寄っても気にせずうろうろしています

 ランチ休憩の際に、一度靴下を脱いだのですが、その隙にサンドフライに刺されていました。虫除けスプレーをしていれば刺されないのですが、ちょっとの隙に噛まれます。

■14時半 「ヒデンレイク」で滝を眺める

 この日の行程15kmのうち、残り3km程度になると、雪崩で木が倒され開けた場所が多くなってきます。氷河が削って作りだしたU字の谷底を歩きながら、岸壁には小さな滝がいくつも見えてきました。標高は変わらないのに壮大な景色が楽しめるのは氷河のお陰なんですね。

 14時半頃、冬の雪崩が地面に激突して出来た穴に水がたまった湖「ヒデンレイク」に立ち寄りました。写真を撮るのにちょうどいい大きな岩があったので座って記念撮影。

氷河が作ったU字の谷底と雪崩による「ヒデンレイク」
「ヒデンレイク」に流れる滝を見上げて記念撮影

■15時過ぎ 雪崩を目撃

 360度の絶景と壮大なスケールに圧倒されながら、ラスト1km程度は少しずつ標高を上げていきます。

 ゴロゴロとした大きな岩場を登っていたその時、「ゴゴゴォォ……」と雷のような鈍くて低い音が響きました。一瞬何が起きたのか分からず、音の正体がわかるまで足が止まっていましたが、「雪崩だよ! 見た? 凄いね、信じられないくらい私たちはラッキーだわ!」と参加者の女性が興奮気味に声をかけてくれたので、事態を理解することができました。

 音が聞こえた山の上の方で雪煙がもうもうと立っていて、大自然のダイナミックな力を目の当たりにし、圧倒されました。

ゴゴォォという低くて鈍い轟音が。煙が上がっている辺りで雪崩が起きました

■15時半 「ポンポローナ・ロッジ」に到着しスコーンで一杯

 そしてついに2日目の宿「ポンポローナ・ロッジ」に到着!  ロッジに着いた後は、シャワーを浴び下着や靴下などを洗濯し、ドライルームでウエアを干してから夕食、というのがルーティンになっていました。荷物軽減のためにも、ドライルームがあるのはとても有難かったです。

2日目の宿「ポンポローナ・ロッジ」に到着です!
水や石鹸を使って簡単に洗濯し、ウエアを絞る機械に通して水気を切ります
強めの温風が吹く「ドライルーム」で洗濯物を乾かすことができます

 「ポンポローナ・ロッジ」は、初日の宿と比べると標高もあり、太陽光が入りやすいのかとても明るく素敵な雰囲気でした。

 名前にあるポンポローナとは、マウイ語でスコーンのことです。このロッジはスコーンが有名とのことで、夕食前にスコーンを注文し乾杯。1日歩いた体にビールが染み渡りました。

ミニバーもオープンし夕食前のひとときを楽しみます
「ポンポローナ」はマウイ語でスコーンのことを指します

 2日目は天気も気持ちよく、ひたすら絶景が続きとても癒される1日になりました。夕食後は翌日のハードな峠越えに向け、入念にストレッチをして早めに就寝。

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