■富士見台に向かう

本丸跡や、詰城(つめのしろ)跡を経て、富士見台に向かおう。今回のハイキングでは高度を最も上げる箇所になる。八王子神社が、標高約440m、この富士見台が約550mである。西側の尾根筋に在り、その先に富士山を見ることができるポイントだ。またこの尾根は、後掲する地形図に記載がある「御主殿の滝」を流れ落ちる城山川などにつながる西端の沢があるところでもある。
城山川沿いには城主の居館である「御主殿」があった。八王子城が陥落した際、居館近くの「御主殿の滝」の上で、武将のみならず婦女子も自刃し川に身を投じ、滝の水が北条方の血で赤く染まったといわれている。
富士見台から西側の尾根を南下する。あとは下りと油断してはいけない。50mほど下ってまた約30m登り返す。この登り返したピークには「熊笹山(530m)」 の表示があった。眺望は楽しめないが、山中に分け入る感覚や、変化のある登山道を歩く楽しさが味わえる。
やがて、いくつか分岐するポイントがあるので注意が必要だ。「高尾駅・駒木野バス停」の表示されている方向の尾根にはりつくように歩いて行こう。
■下山しながら城の守備ポイントを考える

出典1:https://maps.gsi.go.jp/development/ichiran.html(国土地理院)
富士見台から、尾根づたいに下山して気づくことは、小ピーク、鞍部、登り返し、小ピークというパターンをくり返す機会が複数回あるということ。そして、その小ピークには、「曲輪跡」の表示があったりする。
尾根は山城の骨格となっていて、曲輪には兵や武具を置いておき、高位の尾根から敵を迎え撃つという形になるのだろう。
高度を下げていくと勾配がきつい箇所がある。下山には時間をかけてケガには注意しよう。中央自動車道脇に出て、高架をくぐって下界に戻っていく。電車の音が聞こえる方に歩いていけば30分ほどで高尾駅に着ける。
山城跡の低山ハイキングではあるが、今回はゆっくり見ながら約5時間半かかり、歩きごたえがあった。山城を史跡としてばかりでなく、ハイキングとして歩ける山が東京・八王子にある。行ってみてほしい。
【山城・八王子城跡を実感するハイキング】所要時間
バス停「霊園前/八王子城跡入口」→ (約30分) → 管理棟・登山口 → (約40分) → 八王子神社 (約60分) →富士見台→ (約30分) →駒木野バス停、高尾駅方面 or 荒井バス停、摺差バス停分岐→(約60分)→中央自動車道脇→(約30分) JR高尾駅
合計所要時間:約4時間10分 (休憩時間含まず)