宮城県仙台市の仙台駅から公共交通機関で約20分の場所に位置する「青葉山(あおばやま)」は、標高202mの低山ながら、歴史と自然が調和した魅力的なハイキングスポットだ。青葉山は温帯林と暖帯林の接触地帯に位置し、約700種の高等植物と約140種のコケ植物が自生。特にモミ林は北限地帯にあり、学術的にも貴重だ。このため、山の東麓が国の天然記念物に指定されている。
今回は筆者二度目の登山として、独眼竜・伊達政宗(だてまさむね)ゆかりの地を歩き、ゴールとなる青葉山公園からの大パノラマを満喫するコースを紹介する。
■伊達政宗と青葉山の歴史
伊達政宗(1567年~1636年)と青葉山の関係は、仙台城の築城によって深く結びついている。仙台市の青葉山とは、広瀬川の西岸に広がる複数の低山が連なった標高約100〜150mの丘陵地帯を指す。
1600年の関ヶ原の戦い後、徳川家康から奥州支配を認められた政宗は、新たな本拠地として青葉山に仙台城を築いた。1601年に着工し、堅固な要害の地であるこの場所を選んだのは、広瀬川と竜ノ口(たつのくち)渓谷に囲まれた天然の要塞であったから。仙台城は伊達家の居城として約270年にわたり機能し、青葉山は政宗の政治・文化の中心となった。
また、政宗は城下町の整備にも力を入れ、仙台の基盤を築いた。現在、青葉山には仙台城跡が残り、伊達政宗騎馬像が建つなど、政宗の偉業を今に伝えている。さらに、青葉山には東北大学青葉山キャンパスや仙台市博物館、青葉山公園などがあり、歴史と自然が共存する地域となっている。
■スタート地点は「日本最古級の水力発電所」がある三居沢


仙台駅からハイキングスタート地点の三居沢(さんきょざわ)水力発電所前まで市営バスで20分弱。この施設は、日本にある水力発電所のなかでも最古級(明治21年設立)で「日本の水力発電発祥の地」とされている。登録有形文化財なので、ぜひとも立ち寄りたい。
■リラックスしたハイキングができる「青葉の森緑地」散策路


今回、筆者が歩いた「青葉の森緑地」の散策路は、青葉山山頂まで舗装路を含め約4km。「天然記念物指定地」のエリアには含まれないが、コースが整備されており急坂がほぼないなだらかな山道が続くので、自然を満喫しながらリラックスして楽しめる。スタート地点から約2kmの距離に「青葉の森管理センター」があり、トイレを利用できるので安心だ。


青葉の森緑地は樹齢数百年を超える木々が並び、天然記念物に指定されるほどの貴重な自然環境を堪能できる。運がよければリスや「準絶滅危惧種」のオオタカなどの野鳥にも出会えるかもしれない。

青葉の森緑地には、コースにもよるが休憩に便利な「東屋」が9か所も点在する。やはり自然の中で飲むコーヒーは最高だ! 鳥の囀りや、風にゆれる木々が発する音に耳を傾けながら体を休めた。