都心から近いところで気軽にハイキングを、という人に、新宿から電車で約1時間で到着し、山歩きも眺望も楽しめ、帰りには温泉に入って明日からの英気も養えるスポットを紹介する。

 今回目指すのは、神奈川県秦野市に位置する3つの低山からなる「弘法山(こうぼうやま)公園」。小田急小田原線秦野駅から、浅間山(せんげんやま・標高196m)・権現山(ごんげんやま・標高243m)・弘法山(標高234m)を巡り、吾妻山(あずまやま・標高125m)を経て、鶴巻温泉駅に下山する、約2時間半の人気のハイキングルートを行く。

■秦野駅から弘法山公園へ。登山道を癒されながら歩く

弘法山公園山頂へ続く舗装された登山道

 新宿駅から小田急小田原線で約1時間。秦野駅から20分ほど平坦な道を歩くと、弘法山公園の登山口がある。つづら折りの山道を登りはじめるとすぐに、街の喧騒が届かない静かな森が広がっていて、自然の中にいる満ち足りた気分になれる。

 最初の山、浅間山を抜けると道幅が広くなり、権現山の山頂に続く舗装された桜並木の道が現れる。桜の名所としても知られる弘法山公園は「かながわの景勝50選」に選定されている県立の自然公園。「花の名所」や「探鳥地」としても名高く、自然や季節の訪れを感じながら歩くことができる。

 森林の香り、花や草木の芽吹き、風の音、鳥のさえずる声……。五感が癒される登山道は、急なアップダウンも少なく、歩くにつれ心身がリラックスしていく。そんな山歩きを一歩一歩楽しみながら進むこと約50分、ほどなくして山頂に到着する。

■山頂の展望台から秦野の里山の景色を360度一望

相模湾まで見渡せる弘法山公園山頂の展望台からの眺め

 山頂の展望台は、浅間山を越えた権現山の頂上付近にある。晴れた日には箱根や丹沢をはじめ、富士山を望むことができる。その眺めの美しさは「関東の富士見百景」にも選ばれているほどで、展望台周辺は広場が整備され、レジャーシートを敷いてお昼ご飯を楽しむのにも絶好の場所だ。

 また、2024年12月には、その先の弘法山の山頂付近に「弘法山展望デッキ」が設置され、新たな絶景スポットとして話題を呼んでいる。相模湾から東京までを一望でき、天気がいいと江の島も望めるそうだ。

 春になると桜が咲き誇る弘法山公園は、夏にはアジサイやヤマユリが、秋には紅葉が訪れる人の目を楽しませてくれる。季節に応じて移り変わる木々の色合いや風景を眺めに、何度でも訪れたくなる魅力を持つ山だ。