この数日の急激な気温上昇で、街中でも一気に色とりどりの花々が見られるようになってきました。しかし、山に目を移してみると、まだまだ雪に覆われて真っ白な山も多く、本格的な春の訪れはもう少し先になりそうです。
そんな山にいち早く春の訪れを告げる春告花のひとつ、「座禅草(ざぜんそう)」って見たことありますか? ここでは、その非常に特徴的な姿を紹介しましょう。
■自ら発熱して周囲の雪を溶かしながら開花する

座禅草とは、ミズバショウの仲間であるサトイモ科の多年草のこと。紫色の外皮に包まれたような形で、小さな花が密集して咲くという独特な形状をしています。その姿が、まるで座禅を組んでいる僧侶に似ていることから、この名前がついたと言われており、幸福を呼ぶ縁起のよい花としても知られています。
生息地は山間部で、開花時期はエリアによりますが、2月から3月末。真冬の厳しい寒さの中、自ら発熱して周囲の雪を溶かしながら開花するという不思議な植物です。周りの植物よりいち早く顔を覗かせる春告花なのは、他の競争相手がいないうちに昆虫を独占して受粉するためと言われています。
■実際の形は想像以上に「座禅草」でした

実際に座禅草を観察するために、山梨方面へと車を走らせました。訪れたのは小倉山。標高978mの低山です。

訪れた群生地は雪が少し残るような日陰の沢筋でした。木道が整備されていることからも分かる通り、足元には水がチョロチョロと流れ、春から夏には湿地になるような湿ったエリアです。

落ち葉や枝が積もる足元をよく見ながら歩いていると、なんだかそれっぽいものを発見! 周りは枯れ葉と枯れ枝ばかりなのに、ここだけ紫色の何かがあります。