■ついに出会えた“東洋一の雪庇”

広い山頂稜線。しかし東側は雪庇の上です

 山頂稜線に向けて徐々に傾斜が緩くなっているために、前方の景色の変化が乏しく、進んでいる手応えがなくてもどかしい……。ふと、白銀の稜線を辿るように見渡した隙間から険しい表情をした山塊が覗きました! ついにお目当ての雪庇群の登場です。

大岳山頂部から眺める“東洋一”の雪庇群。写真に写っていない手前側からずっと連なっています

 当然、大岳の山頂稜線からも発達した雪庇が張り出しています。周辺状況と地形図と照らし合わせながら慎重に、十分にマージンを残しながら慎重に歩みを進めます。やがて青空と雪面の境界線に割り込むように、目的の大雪庇が荒々しくうねる波のように姿を現しました。

 青雲岳を経て袴岳へと続く稜線には発達した雪庇が連なっています。“東洋一”を謳うだけあって圧倒的なスケールです。ところどころには亀裂が入り、景色に凄みを加えているよう。その光景に圧倒され、ただただ全景を入れてシャッターを押すのみ。もっと近づきたい、斜面の下の方まで覗き込みたいのは山々ですが、不用意に近づくのは危険です。雪上にいるとどこまでが地面の上なのか判断しづらいのが雪庇です。気づくと雪が支えるだけの空中にいるかもしれません。いつ崩壊してもおかしくはないので、十分に距離をとってレンズを向けました。

■天国から地獄へ 強烈なストップスノー!!

景色は最高! でも強烈なストップスノーに、もはや笑うしかない……

 暖かく風穏やかな日でしたが、止まっていると徐々に体が冷えてきました。名残惜しいですが、下山開始です。スキーとスノーボードで登ってきたので、ここからはシール(スキン、滑り止め)を剥がし、麓まで滑走の時間です! 今回の目的はあくまでも“東洋一の雪庇”ですが、下山時の滑走ももう一つの楽しみにしていました。“ざらめ雪”を颯爽と滑り降りるスピーディーで快適、エキサイティングなひとときになると期待していました。

 が、しかし……。斜面の雪は緩みすぎたようで、すっかり“ストップスノー(ストップ雪)”になっていました。ところによっては多少走るものの、雪面に板が掴まれるように強烈なブレーキがかかります。もちろん春山の滑走には付き物ですので、メンバーそれぞれ、春雪に効果がある専用のワックスを用意していたのですが、数ターンすると効果を失いターンもままなりません。

 登りながら目をつけていた気持ち良さそうな斜面も“修行の場”と化していました。アプローチが長かっただけに修行の時間も長く続きうんざりします。春分を過ぎて日も長くなり、明るい時間に余裕をもって下山はできましたが、あまりに滑らない雪に苦戦したのが若干心残り。これもまたいい思い出となりました。今年は残雪の登山が長く楽しめそうです。