■見た目と匂いは従来の水煮と同じ

原材料はサバのみ。見た目は従来の水煮と変わらない

 ここまで読んだ人のなかには「味付けをしていないということは、魚の生臭みが出るのでは?」と気になった人もいると思う。そこで食塩不使用缶の代表としてマルハニチロ「さば水煮・食塩不使用」を取り上げ、検証してみた。

 2023年3月に発売されたこの商品は、原材料表記に「さば(国産)」とだけ書かれている。より正確にいえば、サバの他に水も使われているんだけど、日本では水を原材料とみなさないため表記されていない。いずれにしろ、サバと水だけで造られているのは確かだ。

 その中身は、見た目は従来の水煮とまったく変わらない。匂いも同様で、とくに魚臭いわけではない。

そのまま食べてみる。気になるお味は……

 そのまま食べてみると、塩味がないことに軽く驚いた。しかしそしゃくしているうちに、ごくわずかな塩味が感じられてくる。サバの体内にもともと含まれていた塩分だろう。

 腹身の脂の甘さと、背身の濃い旨味がよくわかる。生臭みはなく、サバが本来どういう味なのかがわかるし、ちゃんとおいしい。そのまま食べ続けたら飽きるかもしれないけど、ひと切れくらいは味付けなしでも食べられる。

■サバ缶ネギバターを作ってみる

サバ缶を缶汁ごと鍋に入れる

 さあ、検証が終わったところで“CAN”P料理を始めたい。サバ缶を使うアレンジメニューでぼくがこよなく愛するのは「サバ缶ネギバター」というものであります。この連載でもvol.19で紹介しているが、当時は従来の水煮缶で作っていた。味付けにしょう油を使うため、水煮缶の塩分と合わさって、ややしょっぱい料理ではあった。

 作り方はいたって缶たん! まずは小鍋を用意して、さばの水煮・食塩不使用缶を缶汁ごと入れる。

ネギは山盛りにするのが良し

 サバの上に小口切りのネギをのせる。ネギの量は多いほど良いので、サバの上だけでなく、鍋とサバのすきまにも詰め込んでやる。その上にバターをひとかたまりのせたらフタをする。

中身が沸騰するまで火に掛ける

 あとは鍋を弱火にかけて中身を沸騰させる。火が強すぎると缶汁が吹きこぼれるので、弱火で焦らずゆっくり加熱するのが良い。今回は火力の微調整が難しいアルコールストーブを使ったため、熱くなりすぎた鍋をしばしば火から遠ざける必要があった。