季節を問わず山登りに欠かせない3大ギアといえば、レインウエア・登山靴・バックパックだ。それぞれ種類も多く、はじめはどれを選んでいいか悩むもの。日帰りが軸と言っても、時期、地域、標高、歩行時間、山でやりたいことなどによってチョイスの基準は様々だ。
そこで、ここでは日帰りをキーワードにカテゴリーごとのポイントを、多くのユーザーのギア選びをサポートしてきた石井スポーツスタッフの経験や知識に頼ってみた。休日は自身も数々のフィールドへ足を運ぶ、現場主義の声は役に立つはず。
レインウエア、登山靴に続き、最後はバックパック編を紹介する。
■軽快に荷物を背負うには、フィット感がなにより大事
>この人が教えてくれました<
石井スポーツ松本店 酒井基樹さん
北アルプスをフィールドに日帰りや長期縦走など存分に遊び倒す。冬はスキーをたしなみ、白馬方面のBCエリアに出没。
●体に負担をかけないバックパックを選ぶために
バックパックも登山靴を選ぶのと似た傾向にあると言えます。山をどんなふうに楽しむかによって、選ぶバックパックは変わります。そのうえで大切なポイントは体に負担をかけないこと。荷物を背負って長時間に渡って山道を歩くのですから、やはり体に合ったバックパックが必須です。体にフィットしたバックパックは登りでも下りでも上下左右に振られずに歩けるため、多彩な機能によって、効率良く荷物が運べます。
容量は大きくなるほどたくさんの荷物が入りますが、その分サイズも大きくなり、重量も増します。自身の山行スタイルや選ぶフィールドによって選び方は変わってくるので、ここではセレクトの基本を押さえましょう。
■Point 1. フィットの肝は背面長
登山靴を合わせるときに足の長さを測るように、バックパックを選ぶ際も、背中の長さを測りましょう。背面長と呼ばれる箇所は腰骨の最上部から第7頚椎の突起部分にかけての長さになります。背中の長さは長い人もいれば短い人もいます。背面長にあったものを実際に背負ってみましょう。
バックパック背面が伸縮できるタイプもあるので、誰にでもぴったりと合わせられます。そのうえで、ショルダーやウエストのハーネスを締めて、背中や肩の部分、腰に違和感がなくしっかりと密着するものを探します。背中や腰周りの窮屈感、ショルダーハーネスが首に当たる当たらない、などを確認します。なで肩の人はショルダーハーネスは落ちて、ズレやすくなり、逆に狭いと首周りに当たって、痛くなります。そのあたりをよく見てください。以上がバックパック選びの中では大事な点です。
30L以上のザックになると、荷物もそこそこ入るので重さは大体4~5キロになります。このあたりの容量になると、背中やハーネスに厚めのパッドが付くようになります。肩と腰に荷重を分散をさせバランス良く背負えるようになります。より重い荷物を持っていきたい人はパットに厚みがあったをモデルを選ぶと良いでしょう。
●フィットOK!
●フィットNG!
●男女の骨格の違いからショルダーハーネスも違う
■Point 2. 容量は15Lから40Lまで幅広い
一般的に日帰りの荷物はレインウエアと水、食料、エマージェンシーキット、ヘッドランプなどで大体15Lぐらいで収まります。ただ、日帰りと言っても里山を歩くのか、標高の高いアルプスのような所へ行くかによって装備は変わってきます。また、トレランのようにファストハイクで速く遠くへというスタイルや、いろいろ持っていき山を長く楽しむなど、楽しみ方も様々です。つまり、自分がどんな山行をしたいかによって日帰り登山に適した容量を、15Lから40Lくらいの範囲内で選ぶことになります。
荷物を減らして、長い距離を歩きたい、ファストハイクの人には10L代のザックをオススメします。逆に山で食べる食事にこだわりたかったり、写真を撮ったりという人へはゆとりを持って40Lほどのバックパックが便利でしょう。山行のイメージがはっきりしないのであれば、汎用性の高い30L前後を選んでおけば間違いありません。
●容量ごとに用途は異なる
20L以下のモデルは、山からすぐ戻れる低山や里山の環境なら手軽な荷物でも山行は可能。ファストハイクなどで選ばれる傾向が高めです。
20~35Lのモデルは、日帰りはもちろん山小屋1泊程度まで幅広く使えます。季節や環境を問わず、最初のバックパックに最適なサイズでしょう。
35L以上の大きさになると、日帰りでも様々な荷物を持って行けます。山小屋泊の縦走や小型軽量テントの山行もOKです。
●容量を嵩増しできる雨蓋式
バックパックの荷室を蓋するように付く雨蓋は頻繁に荷物を取りやすい収納スペースとして重宝します。また、本体と雨蓋の間に荷物が挟めるため、容量以上の荷物を持っていくことができる利点があります。