季節を問わず山登りに欠かせない3大ギアといえば、レインウエア・登山靴・バックパックだ。それぞれ種類も多く、はじめはどれを選んでいいか悩むもの。日帰りが軸と言っても、時期、地域、標高、歩行時間、山でやりたいことなどによってチョイスの基準は様々だ。
そこで、ここでは日帰りをキーワードにカテゴリーごとのポイントを、多くのユーザーのギア選びをサポートしてきた石井スポーツスタッフの経験や知識に頼ってみた。休日は自身も数々のフィールドへ足を運ぶ、現場主義の声は役に立つはず。
まずはレインウエア編を紹介する。
■6つのポイントごとにレインウエアを解説
>この人が教えてくれました<
石井スポーツ松本店 和泉まどかさん
標高差のある北アルプスの登山だけでなく、たおやかな里山をのんびり歩くことも楽しんでいる。冬はスノーボードに夢中
●体が濡れて冷えることを防ぐ命にも関わる大事な道具
初心者の方でポンチョタイプの雨具を選ぼうとする方がいますが、山では風が上から吹くだけでなく、下からも舞い上がります。足元が濡れやすいため、ポンチョはNG。上下セパレートの雨具が基本になります。
体は濡れた状態のままだと見る見るうちに冷えていきます。水は空気よりも20倍ほど熱伝導率が高いため、体の熱を一気に奪っていきます。そのことで、体温が低下し、さらに風が吹き付けるため、低体温症になるリスクが生まれます。この症状は、激しい震えや判断力の低下を引き起こし、命に関わる状態にも。そうならないよう体を濡らさない、冷やさない。これを最優先事項に置いて、レインウエアを選びましょう。
■Point 1. 防水透湿性能素材を選ぶ
雨など外からの水の侵入を防ぎつつ、体から出る汗(水蒸気)をレインウエアの外側へと排出する。この機能を持っているのが防水透湿性素材となり、レインウエアはその素材を使っています。普通の雨合羽は、雨などを防ぐ防水性はありますが、内側が蒸れやすく、汗をかいて体を冷やします。防水透湿素材はレインウエアの他にソフトシェルやウインドシェルなどにも使われています。ただ、長時間の使用に耐えうる設計ではないので、初心者のうちは使用を控えるようにしましょう。
■Point 2. 生地の構造を知ろう
防水透湿素材の表や裏に、生地を貼り合わせることでレインウエアとして機能します。素材の組み合わせは、大きく2層(2レイヤー)と3層(3レイヤー)、そして2.5層の3種類に分かれます。生地の種類や厚さによって違いが生まれ、目的に応じて使い分けができます。大まかには3レイヤーは耐久性が高く、重い荷物を背負って長期縦走に行く方にぴったりです。一方、2レイヤーや2.5レイヤーは軽量でコンパクト性に優れているため、荷物を軽くする山行の人にはオススメです。最初に選ぶなら、3レイヤーが長期的に使えて良いでしょう。
●防水・撥水性能を備えているシェルだが、長時間や豪雨での使用には適さない
ソフトシェルは防風性と保温性を兼ね備え、ストレッチ性もある高性能ウエア。表地は撥水加工を施し、雨などを適度に防ぐ。
2.5層の軽量ジャケットは、防水性能を備えながらウインドシェルとしても幅広く活用できる。