「標高が高い」というのはスキー場のポジティブ要素になるが、実は2,000mを超えるのはそれほど多くない。
昔から、スキー場の紹介文の定番に「標高が高いので雪質も抜群」といった表現がある。この場合はスキー場トップの標高を指すが、弊サイトもこれまでにおそらく何度か繰り返しているに違いない。
ところで、「標高が高い」とは、一体何m以上を指すのだろうか? たとえば、HAKUBA VALLEYに属する10スキー場を比較してみよう。
▶爺ヶ岳=1,200m
▶鹿島槍=1,550m
▶白馬さのさか=1,200m
▶エイブル白馬五竜=1,676m
▶Hakuba47=1,614m
▶白馬八方尾根=1,831m
▶白馬岩岳=1,289m
▶栂池高原=1,704m
▶白馬乗鞍温泉=1,300m
▶白馬コルチナ=1,402m
10スキー場の平均が約1,476m。もっとも高いのが八方尾根(1,831m)。次が栂池高原(1,704m)。1,700m〜1,800mあれば充分に「標高が高い」と主張してもいいのだろう。
しかし、日本にはそれらよりも更に上のクラスが存在する。それが、ここに紹介する「標高2,000m超」のスキー場だ。
圧倒的トップは2,830mの千畳敷だ。ただし、以前はカール(氷河地形)にTバーリフトを設置する形式だだったが、ここ数シーズンはされていない。そこに大きな価値があったが、ポピュラリティは低い。その点で、フツーのスキー場として2,307mを誇る志賀高原の横手山・渋峠の凄さが際立つ。
ただし、標高と標高差は別物であり、横手山・渋峠は標高差が600mしかない。つまり、ベースの標高も高いのである。ちなみに、もっとも標高差があるとされているのはかぐら(1,225m)である。
また、標高差と最長滑走距離も別物だ。国内トップの最長滑走距離を誇るのは野沢温泉(10km)、次が山形蔵王温泉(9km)だが、この2か所は先ほど示したように標高はハイクラスではない。
2,000mを超えた標高は、降雪量や雪質、眺望の面では高いアドバンテージがあるが、スーパーロング滑走が楽しめるとは限らない。そこはそれぞれの環境次第なのだ。
一方、海外に向けると、千畳敷が子どもに思えてくる。州都のデンバーが1,609mと野沢温泉のトップぐらいあるアメリカ・コロラド州には、ブリッケンリッジ(3,961m)、ラブランド(3,965m)、アラパホー・ベイシン(3,977m)など4,000mに迫るスキー場がゴロゴロある。さらに、テルライド(4,008m)、シルバートンマウンテン(4,110m)と4,000m超も存在するのだ。
とはいえ、ものには限度がある。通常2,500mを超える山では酸素が薄くなり、その環境に慣れていない人は、命を失うこともある高山病になる可能性があるからだ。
誰もがシルバートンマウンテンで、「4,110mのパウダー最高! 」となるわけではない。その点から、横手山やピラタス蓼科、御嶽、野麦峠、開田高原マイアあたりは、絶妙なスペックだといえるのだ。