「#山ごはん」「#山ラーメン」などのハッシュタグがSNSを賑わせている。ラーメンやパスタ、カレーなどを、ワンバーナーを持参し調理して食べるのは、登山の楽しみの一つだ。

 しかし、楽しく美味しい反面、失敗することもしばしば。今回は登山歴5年の筆者やその周りが経験した、山ごはん失敗エピソードを紹介しよう。

■失敗エピソード① 予想以上に寒くてガスが気化せず調理できない、時間がかかる

気温が低いと、ドロップダウン現象によりガスが気化せず、点火しないことも

 山ごはんを作るのに欠かせない、ワンバーナー。お気に入りのクッカーでの調理は楽しい時間だが、実は調理する場所の気温に応じて、ガスボンベを選定する必要があるのはご存じだろうか。

 エネルギー源であるガスボンベに充填されているガスの種類によっては、気温が低いとガスが気化せず、火がつかないことがある(ドロップダウン現象)。

 数年前の秋に登山した際、山の中腹で気温が想定より低く、持参したガスボンベの火がつかなかった苦い経験がある。ウキウキで調理を楽しもうとしていた気持ちが一転、どんより沈み込んでしまった。

 結局、寒冷地対応のガス缶を持ってきた友人にお湯を沸かしてもらい、持参のレトルト食材を湯煎。おつまみの缶詰は冷たいまま食べるハメになってしまった。

登山する季節、気温に合わせてガスボンベを選定しよう

 ガスボンベに詰められているガスの成分は、沸点が低い順からプロパン、イソブタン、ノルマルブタンがある。沸点が低いガスは寒冷地でも気化するので、問題なく点火する。また、充填するガスの混合比率を変え、寒冷地でも使える「パワーガス」という商品もある。

 気圧と蒸気圧の関係もあるが、基本的にはノーマルタイプは春および夏、秋や冬はパワータイプのガスボンベを使うなどして、ドロップダウン現象を避け、山ごはんタイムを楽しもう。

■失敗エピソード② パックご飯とレトルトカレーを一気に温められず、順番に湯煎してる間に冷めてしまう

レトルトご飯を温めている間にシチューが冷めていくのは残念

 レトルト食品は日持ちがして、湯煎するだけで熱々の美味しいご飯が食べられるので、山ごはんに使う人も多いだろう。筆者もしばしば、山カレーを作って楽しんでいる。

 ここで意外と盲点なのが、湯煎食材とクッカーのサイズだ。クッカーに十分な大きさがないと、ご飯とレトルトカレーを同時に温められない。筆者の友人は山シチューを楽しもうと、レトルトのビーフシチューとご飯を交互に湯煎したが、冷え込んだ山の空気で先に湯煎した食材がどんどん冷めてしまった。

 友人は猫舌だったので大きな問題にはならなかったが、熱々なご飯が好きな人にとっては結構な痛手。湯煎する食材を持っていく場合は、調理予定のレトルト食材が全てクッカーに入るか、事前にチェックしておこう。

メスティンでご飯を炊きつつ、蓋の上でレトルトカレーを温めるおすすめの作戦
熱々の山カレーを食べる至福のひととき

 この友人のエピソードから、山カレーを作る時は気合を入れて生米を持っていき、メスティンで炊きつつ、蓋の上でレトルトカレーを温める方法を取り入れている。

 ムラなく温めるため、レトルトパウチを定期的にひっくり返す必要はあるが、この方法だとご飯もカレーも熱々のうちに食べられ、山カレー調理にはぴったりだ。