年の瀬も押し詰まり、お正月に向けて気忙しい季節がやってきました。

 お正月の食べ物の代表格といえば、なんといってもお餅でしょう(※個人の感想です)。

 けど、お正月を過ぎると急速に存在感を失ってしまうのは、餅好きの心情としてはあまりに残念。“お正月の余りモノ”ではなく、むしろ“常備食”として、山で重宝するお手軽食材として活用してあげましょう!

■腹もち、日もち、申し分なし!

 年末年始以外ではなかなか日の目を見ることのないお餅ですが、もっと”山ごはん”の主役として活用されてもいいのでは、と餅好きの私は常々考えています。

 餅は食後ゆっくりと消化吸収されるため腹もちがよく、登山のように持久力が必要な運動に適しています。(映画『クライマーズ・ハイ』でも、主人公が谷川岳の一ノ倉沢に挑む日の朝は餅を焼いていましたね)

 また、市販の切り餅はひとつずつ個包装されているので、常温で気兼ねなく持ち歩けて、余らせてしまっても賞味期限にあまり神経質になる必要もありません。

山ごはんとしてのメリットいろいろ

■焼き色と香りが食欲をそそります!

 おまけに難しい調理法は不要、ただ焼くだけで視覚と嗅覚から食欲を刺激します。ズボラだけど山で美味しいものを食べたい、という要望を満たしてくれます。

 山上で餅を焼いていると周囲から注目されることもたびたび。適度に焦げ目がついた餅の写真はシンプルにSNS映えも狙えますよ(たぶん)。

このふくらみ加減が食べどきのサイン!

■焼き網とストーブがあれば、難しいコツ不要!

 “調理”に必要なのは、焼き網とストーブ。餅は焦げやすいので、焼き網は下部に金属メッシュなどが付いていて、ストーブの熱を広く分散してくれるものがおすすめです。同様の理由で、ストーブも防風性を高めて、炎が中央に集中するタイプよりも外側に広がるタイプのほうが失敗しにくいでしょう。

「餅を焼きやすいか」を基準に道具選びしています(笑)

 焼くときの火加減はできるだけ弱火で。餅の中まで温まる前に表面が黒焦げになるのを防ぎましょう。

 焼き始めたら、餅にまんべんなく火が通るように、こまめに裏返したり位置を変えたり、忙しなく注意を払う必要があります。昔の諺にも「魚は殿様に焼かせよ、餅は貧乏人に焼かせよ」と言われているくらいです。

 目は離さず頻繁に動かすのが、餅を焼くときの唯一のコツかもしれません。真白に輝く表面が徐々にきつね色になり、焼き上がりを知らせるようにふくらむ様と時間を楽しみましょう。