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 ハンモック泊用のスリーピングシステム選びの基本的な考え方は、一般のテント泊と同じです。

 テント泊には、スリーピングバッグとスリーピングマットが必ずセットで必要です。これはそれぞれの道具に明確な役割があり、どちらかが欠けても成立しないからです。

 まずはテント泊において、それぞれの道具の基本的な役割がどのようなものなのかを頭に入れるところから始めましょう。

■スリーピングバッグの役割

上面はスリーピングバッグ、下面はマットが冷気を防ぎます(イラスト:東海林巨樹)

 スリーピングバッグの主な役割は「保温」です。中綿によって膨らんでいる部分に温かい空気を蓄えているため、季節や気温に応じて膨らみ具合や密度(羽毛の封入量)の異なるモデルを選びます。

 一般的なスリーピングバッグは袋状になっていますが、じつは本来の保温力を発揮できているのは上面に限られています。なぜなら背面部分は体重で中綿がつぶれてしまっているため、本来の保温力をほとんど発揮できていません。つまり、袋状になっていたとしても、背面がつぶれた状態のスリーピングバッグは、かけ布団と同様の役割しか果たせていないのです。

■スリーピングマットの役割

 スリーピングマットには、「寝床の緩衝材」としての役割もありますが、主な役割は「断熱」です。スリーピングバッグだけでは補えない背面部分の断熱、保温の役割を担います。

 地面からの冷えを確実に遮ることは、快眠への近道です。もしマットの断熱性が十分でなければ、どれだけ暖かいスリーピングバッグを用意しても、冷たい地面の上では快眠を得ることはできないでしょう。時期や場所の変化に応じて、十分な断熱性を持ったスリーピングマットを選択する必要があります。