ここ数年続くキャンプブームによって、これまでほとんど知られてこなかったアウトドア用ハンモックの認知は広まりつつあります。ハンモックには「ゆったり」や「心地よい」など、だれもが親しみやすい特徴があり、キャンプを充実させるための道具として紹介される機会が増えたからでしょう。
たしかに、ハンモックに腰を下ろして焚き火を眺める時間が格別なのは間違いありません。しかし、ハンモックをただキャンプ場でくつろぐためだけの道具として捉えるのは、もったいない。なぜなら、それはハンモックが持っている特性の一部を見ているにすぎないからです。
アメリカでは「設営の自由度の高さ」から、ハンモックはロングディスタンスハイキングに有効な道具としても認知されています。
■ハンモックのすばらしさは、ハイカーにこそ知られるべきではないか
私自身、かれこれ10年近く、ハンモックを使っていろいろなところを旅してきました。1ヶ月以上、ハンモックで寝泊まりを続けたこともあります。
ハンモックは完璧な道具ではありませんが、吊るすことさえできれば、どんなところでも(地面が濡れていようが、傾斜があろうが)安心して眠れる寝床を確保できます。しかも、手のひらに収まるほど軽量でコンパクト(本体重量が200gを切るものも!)です。私はこんな道具をほかに知りません。そのことに気づいているハイカーたちは、すでにハンモックを使って世界中で自由な旅を謳歌しています。
私がハイキングにハンモックを持っていく理由は、「いつでもどこでも安定した休憩場所や寝床を確保できるから」です。ハンモックで過ごすこと自体を楽しみ(目的)に山へ向かうこともあれば、ハンモックを実用的な寝具としてハイキングに用いる(手段)こともあります。
ハンモックが「目的」、または「手段」のどちらであるにせよ、ハイキングを豊かにしてくれることに変わりはありません。まずは「ハンモックはこうあるべき」といった思考を解放しましょう。ハンモックは、あくまで道具です。ハイカーそれぞれが自由に使うことが大切です。