私はハイキングの休憩や就寝のための手段として、「ハンモック」を取り入れています。なぜハンモックなのか。その理由はいろいろとありますが、ひとつは「睡眠の質を高めてくれるから」です。
中南米では、現在もハンモックが日常的な寝具として広く使われています。これは、彼らにとってハンモックがもっとも快適な寝床である証しです。ハンモックは宙に吊り下がった状態のため、背面が蒸れにくく、高温多湿な環境でも涼しく眠ることができます。また、毒ヘビやサソリなどの有害生物の危険から離れて過ごせるといった理由もあるにせよ、快眠が得られるからこそ使われ続けているはずです。
■ハンモックが心地よいのは「体圧が分散される」から
人間の体は平面ではありません。平らな場所で横になると、頭部、肩、背中、肘、お尻、踵などの出っ張っている部分に圧力が集中します。普段の生活ではその圧力を分散させるために布団を敷きますが、それでも圧力を全身に分散させることは困難です。
就寝中は圧力の集中する部分の血液の循環が悪くなり、その圧力を分散しようとして人は無意識のうちに寝返りを打ちます。自らの動作によって体圧を分散させようとするのです。
ハンモックに横たわると、体が生地に触れている部分全体に体重が分散され、地面で横になったときのように特定の部位に圧力が集中することがありません。ハンモックで寝るのが心地よいのは、「体圧がうまく分散される」からなのです。
言い替えれば、ハンモックは過剰な寝返りを防ぎ、眠りの質を向上させてくれます。疲労の回復に直結する睡眠の質を高めることは、ハイキングの質を高めることにもつながります。