いよいよ10月も残りわずか。長野県北部、高山村にある松川渓谷では、深い谷間に差し込む陽光を受けて赤や黄色の色鮮やかな紅葉が山肌を彩っていました。

 一帯は最上部の山田牧場エリア、さらに松川沿いに七味温泉エリアから山田温泉エリアまで、約1,000mの標高差があります。1か月間あまり紅葉を楽しむことができ、例年10上旬に標高2,000m付近で色づきが始まり、月末に標高900mくらいまで紅葉が降りてきます。

 猛暑の影響からか10日〜2週間ほど遅かった今年の紅葉ですが、このところの冷え込みで一気に色づきが進んでいるようです。写真映えすることで人気の赤い橋、「高井橋」は上信越高原国立公園の入り口となります。標高が低いのでピークは今週末くらいになりそうですが、すでに十分に見頃で多くの観光客が思い思いにカメラやスマホを向けていました。

 急峻な深い谷間は日差しを遮ります。特にこの時期は明暗のコントラストがはっきりとし、紅葉が谷間に浮き立つように見えて鮮烈です。時間帯によって景色が著しく変わるのも見どころ。この季節の森は光に満ちて明るく、全体が心まで温まるようなウォームトーンとなります。その一方で日の光が届かない谷底は青白く、神秘的な雰囲気で滔々と水が流れていきます。紅葉した葉や落ち葉が匂い立つように、独特の芳香を放っています。朝夕は冷えるものの、散策するのにもってこいの気候ですね。

 紅葉を愛でながらドライブ、松川渓谷を上がっていくと標高約1,100m地点にあるのが「雷滝」です。落差30mほどの豪快な流れが轟々と音と一緒に水しぶきを上げています。遊歩道が滝の裏にも通じているのが珍しく、流れ落ちる様子を裏側からも見ることができる人気スポットです(※滝へと向かう道は急な階段や滑りやすい箇所もあるのでご注意ください)。

 松川沿いは、谷筋に沿うように8つの温泉が点在する「信州高山温泉郷」となっています。泉質もロケーションもバリエーションに富んだ温泉の宝庫。紅葉狩りと一緒に温泉も楽しんで日頃の疲れを癒しつつ、新そばに舌鼓を打つのもいいですね。