信じられないほどの猛暑が続いた夏だった。30℃を超える気温が続いた9月も過ぎ、10月に入ってようやく過ごしやすい気候となってほっとしている。

 新潟の夏は蒸し暑く、日本海に近い山域ではアブやブヨなど厄介な虫が多い。夏が過ぎ、秋と冬の狭間のような涼しいこの季節は、心地よく乾いた空気と相まって、アウトドアで過ごすのに一番適しているのかもしれない。山全体が色づき始めたタイミングで寒気が入り高い山は冠雪、奇跡のような景色に出会えるチャンスだ。雄大な景色が魅力の「夢見平」のトレイルと “百名瀑”の一つ「苗名滝」の紅葉散歩に出かけてみた。

■大展望とフカフカの落ち葉の極上トレイル! 夢見平を歩こう

夢見平の入り口からの雄大な眺め

 夢見平。誰が名付けたのかは知らないが、そのネーミングセンスに脱帽だ。春は新緑とミズバショウが芽吹き、生命の鼓動あふれるトレイルは、秋には迫りくる長い冬を迎えるように赤や黄色に染まる。遠くに見える山の頂はすでに白一色のモノクロームの世界……。四季折々、まさに夢のような景色が広がっている。

わかりやすいルートで安心のトレイル。野生動物に注意

 このトレイルは季節ごとの表情を見せる。夢見平遊歩道の秋の顔は、カサカサ・フカフカのトレイル! ブナやモミジ、カラマツの混生した森は、目にも膝にも優しいのかもしれない。

 幅が広く、良く整備されたトレイルは快適に歩くことができる。長野市の善光寺から斑尾山までつなぐロングトレイル「あまとみトレイル(2021年秋開通)」と一部道を共有する以前から整備が行き届いた印象だったが、今ではトレイルランニングのコースも兼ねているようで、さらによく整備されたようだ。

 ズミ(※)のトンネルなど、トレイル上には樹木の下をくぐり抜けるところもあるが、もし雨でもトレッキング・アンブレラ(山道で携行しやすい登山用の)を使えるほど道幅が広いトレイルは、なかなかお目にかかれない。激しいアップダウンが少ないので、歩いても走ってもとても具合がいい。

※バラ科リンゴ属の落葉高木。初夏に白い花を咲かせ、秋には赤い身を付ける。

紅葉するのが遅いカラマツ林は、これから見ごろを迎える

 1周約4時間のコースと2時間のコースがあるので、その日の天候や気分、時間と体力に合わせてコースを選べるところも嬉しい。案内の道標もしっかりしていて迷うことはないはず。山深いエリアだけに野生動物とうっかり鉢合わせにならないよう、熊鈴などの対策はしっかりしていきたい。