■長く歩くための歩行術 その3 適切なタイミングで栄養補給を

 8時25分、小荒島岳に到着。ここで持ってきたおにぎりを1つだけ食べる。

こまめに水分摂取・栄養補給を(撮影:小林 恵)

 歩いている間はずっとエネルギーを消費しているので、途中でこまめに栄養補給をしていわゆる「シャリバテ状態」にならないようにしたい。チョコレートなど甘いものをこまめに食べるのでもOKだ。

 水分摂取はそれ以上に大事。これからの時期は気温が高くなるので、頻度を上げるよう適切なタイミングでの水分摂取を意識したい。もちろんハイドレーションを使うのもよい。

荒島岳本峰を一望する小荒島岳(撮影:小林 恵)

■追記:着るもので温度調節を

難所「モチが壁」を過ぎると白山。長袖を脱ぐ(撮影:小林 恵)

 この3つのポイントに加え、これからの時期はウェアの着脱で温度調節を行うことも意識しておきたい。

 9時5分、もう1つの主要コースである勝原ルートとの分岐である「シャクナゲ平」標高1,204mを通過。ここから少し行くと「モチが壁」と呼ばれる急登となる。ここまではブナの天然林の道だったが、鎖場もあり緊張を強いられる。

 ここを通過すると一気に展望が開ける。好天もあって気温が上昇し、2時間以上歩いて汗ばんできた。ここでザックを置き長袖を脱ぐ。グループの場合だと、立ち止まって全体のペースを落とすのではないかと思い、服を脱ぐのをガマンするかもしれないが、長袖の暑さでバテてペースが落ちるより時間のロスは全然少なくて済む。そうしたちょっとしたことの積み重ねがバテの防止となるものだ。

■余裕を持った山行を

荒島岳山頂は360度のパノラマ(撮影:小林 恵)

 そして10時5分、出発してから3時間50分で荒島岳山頂に登頂。登山口からの公式コースタイムが3時間40分なので、駐車場まで車で来たことや休憩時間などを加味すると、ほぼコースタイム通りのペースと言える。自分の過去の山行を振り返ると、時間を気にして先へ先へ急ぎ、バテてしまってかえって時間がかかってしまったことも少なくない。

 以上、バテないためのポイントを挙げた。どれも当たり前のことのように思われるのだろうが、実践していない人が結構いるように思う。

 初心者の方は「山には経験者と登れば安心」と思われるだろうが、体力のある人が自分のペースでどんどん歩いた挙句に、同行者がバテてヘタリこんでいる姿を何度も何度も見た。基本的なことこそ大事だ。

 また、スタートが遅くなるとどうしても行動を急ぎがちだ。急いで登っているウチにバテてしまい、更にペースが遅くなるという負のスパイラルに陥り遭難につながることもある。バテないために最も大事なことは、ちゃんと計画を立て余裕を持った行動を心がけることだと思う。

 

荒島岳中出コース駐車場
・施設名:荒島岳中出コース駐車場
・電話:大野市観光交流課 0779-66-1111

【ホームページURL】 https://www.city.ono.fukui.jp/kanko/kanko-joho/guide/arashimadake.html

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