■海上で優雅にバードウォッチング

氷川丸周辺は良く水鳥が集まるスポットだ

 氷川丸が目の前まで近づいてきた。ここは、いつもユリカモメやスズガモが集まっているポイント。野鳥を驚かさないように、静かに前進しよう。

 氷川丸のアンカーチェーンでのんびりと体を休めるカワウ。どこにでも観察できる野鳥の一種だが、SUITAKUから見ると、特別な鳥に見えてきてしまうのが不思議だ。山下公園で最も数の多いスズガモが水面低く飛んでいく。

小さな波に乗って楽しんでいるかのようなセグロカモメ
後ろを振り返ると、薄く雪をかぶった丹沢の山々が見える

「次はどこに行きますか」キャプテンが尋ねる。
「そうだなあ。じゃあ、ベイブリッジを目指しましょうか」
自由気ままといえば格好いいが、実際は行き当たりばったり。でも、それもプライベートクルージングならではの贅沢さだ。

前面ガラス越しにベイブリッジが近づいてくるのが見える

 近くで見るベイブリッジは巨大で迫力がある。橋の下を通過して、周囲の野鳥を探すが、この日は姿が見えなかった。もう少し寒さが厳しくなってくれば、カンムリカイツブリやハジロカイツブリなどもやってくることだろう。

長さ860mのベイブリッジの下をくぐる

■突如現れたオスプレイに大興奮

海の猛禽類の出現に大いに盛り上がる

 突然、大きな影が前方に現れた。オスプレイだ! オスプレイといっても軍用機のことではない。英名Osprey。和名はミサゴだ。登山やBC、アウトドア好きの読者諸氏なら、バックパックメーカーのオスプレーを思い出すことだろう。特徴のあるエンブレム。あれはミサゴをデザインしたものである。

 ミサゴは、魚を食べる猛禽類だ。カワセミのように空から水面に飛び込み、魚を捕らえる。白と茶色のカラーリングが美しく、人気のあるタカの一種である。それが、SUITAKU上を低く通過していったのだから興奮度はMAXに!

力強く羽ばたくミサゴ。目がキラリと光った

 大喜びする私を見て、キャプテンが「先週、二度ほど、この先でミサゴが同じ場所で止まっているのを見かけましたよ。」と言う。えええっ!? 二度も止まっていたとなると、そこはミサゴのお気に入りポイントの可能性が高い。緊張しながら進路を見つめる……と、いたっ! 日本最古の防波堤灯台が立つ横浜港北水堤に、ミサゴが止まっている。先ほどと同じ個体に違いない。

 望遠レンズ越しにのぞくと、大きな魚をがっちり足で抑え込んでいる。ボラのようだ。鋭い目つきとくちばしが見える。これぞ猛禽類。

 SUITAKUが近づくと、左足だけで魚をつかんだまま飛び出した。魚は思ったよりもさらに大きい。ミサゴは、その後、トビの襲撃を受けたものの、逃げ切って横浜港の奥へと飛んで行った。

片足で軽々と魚をつかんで飛び去って行った