ソーセージ缶の歴史は古い。発祥はヨーロッパだと思われるが、国産のソーセージ缶も、1930年代には少なくとも7ブランドが出ている。冷蔵のパック品が当たり前の現代では、缶詰のソーセージを食べたことがない読者も多いと思う。

 しかし毎月の全国缶詰販売データを見ると、やきとり、コンビーフ、ランチョンミートなどが含まれる畜肉部門で、ソーセージ缶はだいたい25位前後をキープしている。順位としては高くないけど、それよりも大事なのは一定の販売量を常に保っていること。

 つまり、ソーセージ缶には根強いファンがいるということだ。

■粗挽きウインナーはグルメ缶詰にも採用

明治屋のウインナーソーセージ缶。右は現代版にアップデートされた粗挽きタイプ

 ソーセージの中でも、直径が20mm未満の細いものを「ウインナーソーセージ」と呼ぶ。ロングセラー商品のひとつである明治屋のウインナーソーセージ缶は、もっとも古い記録だと1933年(昭和8年)に販売されている。肉質が滑らかな細挽きタイプで、前述した缶詰販売データに出てくるのも、この商品が多い。

 面白いのは、同社が2014年から展開しているグルメ缶詰シリーズ「おいしい缶詰」にも、ウインナーソーセージ缶が採用されていることだ。ただし、肉質は細挽きではなく粗挽きタイプ。原料肉も、既存品は牛と豚の合挽きなのに対して豚肉100%になった。歯応えとジューシーさを増して、現代日本人が好む味にアップデートしている。