■断面の盛り上がりは「羊腸」を使った証し
日本のウインナーソーセージ缶は、短くカットされて収まっているものがほとんどだ。その断面を横から眺めると、肉が盛り上がっているのがわかる。実はこれ、天然の羊腸(羊の腸)で造られた証しであります。
味付けした挽肉を羊腸に詰め、燻製してからカット。それを缶に収めて、殺菌のために缶ごと加熱する。この加熱によって肉は膨らもうとするが、羊腸は燻製で引き締まっているので、断面からはみ出るように盛り上がるってわけ。
羊腸を使うのは伝統的な製法なのだけど、羊の飼育頭数が世界的に減っているため、原料の調達が年々厳しくなっている。代わりに台頭してきたのが、コラーゲンから造りだした人工ケーシングだ。
羊腸に比べて柔軟なので、同じ製法でソーセージ缶を造っても、断面は盛り上がらない。パリッという食感もないので、ダブルの意味で盛り上がりに欠ける(海外のソーセージ缶は人工ケーシングが多い)。
ソーセージの醍醐味はパリッという食感にあると僕は思う。そのために羊腸にこだわり続けるのが、日本のメーカーの心意気なのであります。