遠くの山から見ても一目で分かる槍ヶ岳。その鋭く美しい存在感のある姿に憧れる人は、たくさんいるのではないでしょうか。私は登山を始めて3年が経ち、100回以上(高い低いありますが)山を登ってきました。いろんな山から何度も槍ヶ岳を見ては、「登りたい!」「あの頂に立ちたい」と憧れ続けていました。
槍ヶ岳に登るには、何日もかけて長い距離を歩くことが必要だったり、岩場やハシゴの難所への克服が必要とのこと(たくさんルートや登り方はありますから、お気に入りのルートを選択されるといいと思います)。仕事などの事情で休みを取りづらく、なかなか泊まりで山へ行くことが難しいので、ハードルはさらに上がってしまいます。
私の場合は長い距離を1日で歩きたい、高所恐怖症なので梯子への不安など……。課題がありました。以前書いた、大天井岳の日帰りピストン(https://bravo-m.futabanet.jp/articles/-/120159)が槍ヶ岳へ挑む前の練習でした。阿弥陀岳や前穂高岳ではハシゴの練習ができました。徐々にステップアップしてきて、体力もつき気持ちも強くなったと自信が持てるようになると、自然と「槍ヶ岳へ挑戦しよう!」という気持ちになりました。
■ついに槍ヶ岳へ挑戦! 憧れが現実になるとき
いつもより身が引き締まる思いでスタート。今回のルートは、新穂高〜千丈沢乗越〜槍ヶ岳〜大喰岳〜飛騨乗越〜新穂高の飛騨沢ルートで槍ヶ岳を登ります。時間に余裕を持たせるために朝3時から登り始めました。私は速く歩くわけではありませんが、あまり長い時間の休憩もとりません。行動食と水分を十分に持って、こまめに補給しながら、ゴールの槍ヶ岳だけを見て、童話の『うさぎとかめ』のカメのようにコツコツと歩みを進めていきます。
天気予報は曇りで、少し暗い雰囲気を予想して行きましたが、日が昇り明るくなってくると青空が広がっていました。山にも歓迎されている、そんな気がしました。
西鎌尾根の稜線に出ると北アルプス裏銀座から槍ヶ岳がはっきり姿を現しました。裏銀座を背にしながら、槍ヶ岳へと歩みを進めます。北アルプスのシンボルの穂先と小槍がとても大きく見え、興奮しました。
そこから一生懸命登っていくのですが、近づくと槍ヶ岳が見えなくなるので不思議。また「姿が見えてからが長い」ということを実感しました。噂を目の当たりにしました。焦らずに補給しながらコツコツ歩みを進めました。