かつてのアウトドアは堅苦しい遊びだった

キャンプ料理は得意とするジャンルの1つだ。その中でも新しい著書は「焚き火」をテーマにした料理を集めた

ーアウトドアコーディネーターとして働き始めた当時、アウトドアを取り巻く環境はどのような状況だったのですか。

 今ほどではないですが、当時もキャンプをする人や山登りをする人はそれなりにいました。ですが、なんだか昔からの「こうあらねば」という形があって、アウトドアってなんだか堅苦しい、敷居の高い遊びだったんです。

簡単に食事を済ませてしまうこともできるが、仲間と火を囲む時間をゆっくり楽しむのが小雀流

ーそのなかで、どのような意識で仕事をされていたのでしょう。

 最初はただ目の前のことをこなすだけで一生懸命でしたよ。でも、僕は海外の情報を調べたりする中で、海外の人たちがもっとかっこよく、お洒落にアウトドアを楽しんでいるのを見てきた。次第に、日本のアウトドアもあんな風になるといいなという気持ちを持ち始めました。

ー具体的にはどのような部分でしょう?

 例えば、山や野外では手をかけてまで美味しいものを食べる必要はないとか、お洒落よりも機能的で無骨な道具やウエアが重宝されたりします。もちろん、ハードなシチュエーションではそれでいいんです。でも、余裕がある時はもう少しそのあたりも含めてアウトドアを楽しんでもいいんじゃないかと。当時から僕らが提案してきたワンバーナーでも美味しい料理を作る方法とか、山スカートなどのファッションが市民権を得て、現在は日常の延長のような感覚でアウトドアを楽しんでくれる人が増えた。この過程には、とてもやりがいを感じましたね。

<後編に続く>