東京や埼玉、神奈川、千葉などの都市部に暮らしていると、週末の外出先には常に頭を悩ませる。「行きつけの公園」はすでに遊び尽くし、ショッピングモールや水族館も定番コース。もう少し自然と触れ合える場所へ行きたいときにぴったりなのが、栃木県宇都宮市にある「大谷公園」だ。
■巨大な岩壁と観音像が迎える「異世界のような景色」
宇都宮駅から車で約20分。田園地帯を抜けると突然姿を現すのが、垂直にそびえる大きな岩の壁と、その中心に静かに立つ「平和観音像」だ。高さは27mで、昭和期に大谷石(おおやいし)の採石職人たちがノミ一本で彫り上げたというから驚きだ。
灰色の岩肌を背に、白く浮かび上がるその姿は、神秘な雰囲気を醸し出している。現地に立つと、まるでジブリ映画の世界に入り込んだような感覚を覚える。風が岩肌をなでる音、鳥のさえずり、観音像の柔和な表情、どれも日常の喧騒とは無縁。SNS映えも狙えるこの景観は、近年ファミリー層の注目を集めているとか。

■「ただの公園」ではない。採石文化が息づく歴史的背景
この地域は、古くから大谷石の採石で栄えた土地である。園内に見られる巨大な岩壁もかつての採石場の一部であり、現在は自然と共生する空間として整備されている。
大谷石は加工がしやすく、蔵や建物の壁材として日本各地で利用されてきた。この公園は、そうした文化の背景を子どもにもわかりやすく体感させることができる屋外博物館的な一面も持っている。自然と人間の営みが交差する場所。それが大谷公園なのだ。

■ファミリーにうれしい、やさしい設計の大谷公園
都会で子育てをしていると、「行きやすさ」や「安心して過ごせる環境」は重要な要素となるが、大谷公園にはそうしたポイントがしっかりと備わっている。
園内はフラットで歩きやすく、ベビーカーも快適に移動可能で、祖父母と三世代で訪れても安心だ。加えて、入園料は無料。広めの駐車場も完備されており、車移動にも最適だ。園内のトイレも清潔に管理されており、安心して滞在できる環境が整っている。
また、飲食の持ち込みも可能で、芝生の上でピクニックも楽しめる。観音像を見ながら、家族でランチを広げる時間は非日常感たっぷりだ。そして、混雑しすぎない穴場感があり、静けさと解放感が共存する空間である。
テーマパークのような派手さはないが、だからこそ「本当にくつろげる場所」だと感じられるだろう。
