新潟県側から船とバスを乗り継いで尾瀬の最深部へと入る、ユニークで贅沢な「魚沼から行く尾瀬ルート」の旅。異空間のようなトンネルや奥只見湖のクルーズを経て、東北以北の最高峰・燧ヶ岳の麓に広がる深い大自然へと足を踏み入れる。大迫力の三条ノ滝、温かい山小屋での滞在、そして尾瀬ヶ原と尾瀬沼を満喫する1泊2日の旅を紹介していきたい。

■奥只見ダムから尾瀬の旅へ

ダム建造の資材運搬用に開かれた「奥只見シルバーライン」

 今回の尾瀬旅の起点は新潟県魚沼市の奥只見ダム。車でのアクセスは、関越道・魚沼ICから国道352号経由で約50分の距離だ。途中で通る「奥只見シルバーライン」は、奥只見ダムを建設する資材運搬用道路として作られ、全長22kmのうちなんと18kmがトンネル。まるで異空間を抜けていくような非日常的なドライブが体験できる。

モリアオガエルをイメージした緑色のスロープカーでダムの上まで行ける
奥只見湖の遊覧船乗り場から尾瀬口に向かう船に乗る
燧ヶ岳などを望む40分間のクルーズが楽しい

  奥只見ダムは、直線型重力式としては日本一の高さ157mを誇る。ダムによって誕生した奥只見湖では、春から秋にかけて遊覧船を運行し、四季折々の景色を楽しみながらクルージングが可能だ。今回は遊覧ではなく、片道40分かけて湖対岸にある「尾瀬口船着場」へ移動する便に乗船。ここからバスに乗り換えて尾瀬登山口となる「御池」に向かう。

 また、JR浦佐駅からの路線バス、遊覧船、その先のバスを乗り継いで尾瀬の御池や沼山峠へ向かえるので、マイカーのない電車ユーザーもアクセスしやすいのがうれしい。また、遊覧船と沼山峠までのバスがお得になる「尾瀬パス」も用意されている。

※6/1~10/12の土日祝日、および平日特定日のみの運行となります(要予約)。
運行日の確認やご予約は(一社)魚沼市観光協会HPよりご覧ください。

船が到着するタイミングに合わせてバスが出ている
奥只見湖の遊覧船&定期船を利用しよう

■裏燧林道を通って三条ノ滝へ 

御池でバスを降りて駐車場脇にある登山口から裏燧林道に向かう

  新潟・福島からの玄関口「御池」からは、東北以北の最高峰である標高2,356mの燧ヶ岳へ登ることもできるが、今回は山頂へは向かわず、その北側山腹をまわるハイキングコース「裏燧林道」を通って、三条ノ滝を目指していく。このルートは「上田代(うわたしろ)」や「横田代」、「天神田代」などの小さな湿原が連続し、湿原越しに燧ヶ岳を見上げるビューポイントもある。

裏燧林道には森の間に湿原や池塘が点在している
途中に深い森を通るなど景色の変化を楽しめるのがこのルートの特徴
途中の沢に架かる裏燧橋。雪解け時期には沢に水が流れているという

 ロングコースではあるが、大きな高低差はほとんどなく、春のサンカヨウ、初夏はワタスゲやキンコウカの群生が木道沿いを彩り、気持ちよく歩けるルートだ。また、湿原の間に広がるブナなどの原生林があり、新緑の森歩きも楽しめる。

■名瀑「三条ノ滝」

兎田代の上分岐、下分岐を確認しながら滝へと下っていく

 兎田代上分岐から、只見川の流れる方向へ向かって急な坂道を下っていくと、やがて三条ノ滝が見える展望台に到着する。尾瀬といえば至仏山が見える広大な尾瀬ヶ原や、水面に燧ヶ岳が映る尾瀬沼が有名だが、この三条の滝もまた、尾瀬のシンボルの一つといえる存在だろう。尾瀬ヶ原や周囲の山々の水をすべて集め、只見川の本流へと流し落とすため、高さ100m、幅30mを誇る大瀑布は「日本一の水量」とも称される。特に6月上旬から中旬にかけての雪解け時期は、さらに水量が多くなり迫力ある滝のパワーを実感できる。

三条ノ滝を間近から見られる展望台。凄まじい轟音と水煙に圧倒される

 展望台から下ってきた道を登り返し、見晴に向かって進んでいくと、巨大な岩の上を水が滑るように流れていく「平滑ノ滝(ひらなめのたき)」を見下ろすポイントがある。さらに進むと森が開けて、「赤田代」という湿原に飛び出す。ここまでくれば見晴は近い。

三条ノ滝から見晴に向かう途中、展望台から平滑ノ滝を見下ろすポイントがある
尾瀬らしい開放的な湿原が広がる赤田代
尾瀬の森に爆音が響く「三条の滝」