■ミサゴにちょっかいを出すカラス
別の港でも、人工物に止まって休息しているミサゴを観察することができました。すると、太い嘴を持ったハシブトガラスが、ミサゴのすぐ近くに飛んできました。カラスは、猛禽類を見つけると、よくちょっかいを出します。皆さんの中にも、トビとカラスがけんかをしているところを見たことがある方もいらっしゃるでしょう。
この時も、例に漏れずカラスがミサゴに徐々に近づいていきました。それに気づいたミサゴはカラスをにらみつけます。もちろん、カラスはそんなことにはおかまいなし。目を保護する瞬膜を閉じてエクソシストのような“変顔”をしながら顔を突き出す様子は、ミサゴを小馬鹿にしているとしか思えません。
ミサゴの表情を見ていると、徐々にストレスが溜まってきているのが伝わってきます。口を開け、羽を広げてカラスを威嚇すると、さすがのカラスも「おっと、怒らしちゃったぜ」と思ったのか、一瞬体がよろけます。それでも、まだ本気で逃げる素振りは見せません。
■ついに堪忍袋の緒が切れた!
そのうち、横で見守っていたもう1羽のカラスが、ミサゴの下からちょっかいを出し始めました。金属板に縦に止まるという超ムリな姿勢からミサゴを挟み撃ちにする作戦のようです。ミサゴのイライラはMAXに。ついに本気モード炸裂! 翼を大きく広げ、片足を持ち上げながら鋭い嘴で強烈な威嚇を一発お見舞いしました。これには、カラスも「これ以上はヤバい!」と察したのか、慌てて逃げていきました。
しかし、下にいるカラスは逃げることなくミサゴにちょっかいを出し続けます。これには“海の王者”ミサゴもお手上げ。「もう、こいつらの相手をするのは御免だぁ」とばかりに場所を移しました。それでも、ミサゴのプライドが許さないのか、数メートル離れた場所に移動しただけです。決して自分の居場所を明け渡したわけではないと主張しているかのようです。ミサゴの表情を見ると、ややお疲れモードのようにも見えなくはありませんでしたが……。
それでも、海の生態系のトップに君臨するミサゴは、やはり堂々として安定感が十分。先行き不透明な世界状況となっている人間界ですが、ミサゴを取り巻く自然界は、まだまだ安泰のように思えました。