■いよいよ夏山本番の8月にも、期待の新人が登場

中さんと西くんがテントを掃除中?

 8月からスタッフとして働いてくれたのは、地元南信州出身の西くん。小屋閉めまでの2か月、働いてもらった。前職は消防士で、仕事に没頭した20代を過ごした後、ニュージーランドで1年余り生活をしており、応募してきた頃は自転車で島を縦断していた。帰国後の計画を立てている時に、たまたま求人を見つけて「一度はどっぷりと大自然の中に浸り、仕事をしてみたい!」と連絡をくれたのだ。そのため、面接はオンラインで行った。

 彼は、「やるか、やっちゃうか。行くか、行っちゃうか」という、前向きな勢いのあるマインドの持ち主だ。海外で共同生活も経験済みだから、細かいことは気にしない。どうにもならないことを言わないし、自分で考えて解決しようとする力があった。布団に入って秒で寝れらるという強みもあり、朝食と掃除を終えて一旦休憩となると、ポカポカ日の当たるテラスで横になって速攻寝息を立てていたという。

 光小屋は、元々避難小屋からのスタートなので、想像以上にスタッフの居住スペースが少ない。そんな不便な環境でも、適応して楽しんでくれるので助かった。そのうえ、綺麗好きときたので申し分なかった。

■テカリの秋を支えてくれた女の子たち

賄いを作る高橋くん

 秋になってきてもらったのが、毎年お馴染みのクミちゃん。

 普段は有機農園で働きながら、大学で日本画を学んでいるが、今年も京都からはるばるテカリにやってきてくれた。年に一度の登山が、テカリというのだから驚く。さすが、鳳凰小屋仕込みは違う。勝手を知っているから、着いて早々に仕事に入ってくれる。働き者だ。

 それから、大学生のアヤちゃんも昨年に引き続いての参加。高校時代からワンダーフォーゲル部に所属し、登山を楽しんでおり、「毎年、夏休みに働きたい!と連絡をくれる。今年も貴重な存在だった。

 こんなに遠くの光岳まで、わざわざ働きにきてくれたみんなのおかげで、今シーズンも小屋閉めまで営業することができた。なんとか今年も、無事に年末を迎えられそうだ。いいご縁と、踏ん張ってくれた高橋くんには感謝しかない。

 山小屋の仕事は年に3〜4か月しかないため、通年で人を雇うのが難しい。そのため、毎年新たに人を募集しなければならず、せっかく来てくれた人たちを育てていくことができないのが悩みだ。山小屋経営も5年目になったが、まだまだわからないことばっかりだ。

 ともあれ、今シーズンもみなさんありがとうございました!