日本国内の旅や山登りを紹介するYouTuberとして、18万人もの登録者を誇る安涼奈(アリョーナ)さん。先日、自身初となる書籍『日本で山登りはじめました 外国人の私が感じる特別な魅力(KADOKAWA刊)』を刊行しました。
2014年から彼女が外国人ならではの目線から、我々日本人でも気がつかない日本各地の魅力を紹介する書籍は、自身のYouTubeチャンネルのハイライトを凝縮したような一冊に仕上がっています。
ここでは、その一部をダイジェストとして覗き見。北アルプスの名峰「燕岳(つばくろだけ)」での忘れられない年越しについて、振り返ってもらいましょう。
◼️目指すは、「アルプスの女王」燕岳での年越し
緑のハイマツと花崗岩が織りなす美しい姿が、「アルプスの女王」の異名を持つ燕岳。残雪期や秋など、さまざまな季節に登ってきたが、なかでももっとも記憶に残っているのは“年越しの燕岳”だ。
高山の山小屋は、基本的に夏季のみ営業している。北アルプスで通年営業しているのは、西穂山荘と八方池山荘くらいだろう。そのため、真冬の北アルプスに挑めるのは、エキスパートのみ。しかし、燕岳の山小屋・燕山荘には「冬季営業」という特別な期間がある。わずか10日間ほどの限られた期間だが、年末年始に山小屋を利用して北アルプスの名峰を登るチャンスがあるのだ。私は、この冬季営業の機会を利用し、贅沢にも3泊4日でソロの年越し登山に挑んだ。
とはいえ、たとえ小屋が営業していても、冬の北アルプスは甘くない。相応の雪山登山経験と装備が必要となるのは、言うまでもない。
登山口までの道路・中房線は冬季閉鎖されるため、アクセスは徒歩のみ。麓から4〜5時間かけて、真っ白な車道をひたすら登らなければならない。1日目の12月30日は登山口となる中房までの移動だけで終わった。夜は登山口前にある中房温泉に宿泊して温泉で体を休めた。