日本国内の旅や山登りを紹介するYouTuberとして、18万人もの登録者を誇る安涼奈(アリョーナ)さん。先日、自身初となる書籍『日本で山登りはじめました 外国人の私が感じる特別な魅力(KADOKAWA刊)』を刊行しました。
2014年から日本に住み、5年ほど前からはすっかり登山にハマったという安涼奈さんは、日本各地を旅してきました。そんな彼女の外国人ならではの目線から、我々日本人でも気がつかない日本の魅力を紹介する書籍は、自身のYouTubeチャンネルのハイライトを凝縮したような一冊に仕上がっています。
ここでは、その一部をダイジェストとして覗き見。この4年半で600座もの山に登ったなかでも、安涼奈さんが思い出深い山として名前を上げる百名山のひとつ「雨飾山(あまかざりやま)」について紹介してもらいましょう。
◼️爽やかなグリーンと大パノラマ、そして女神様の待つ山
長野県と新潟県の県境に位置する雨飾山は、百名山のなかでも有数の紅葉名山のひとつ。夏山シーズンに登ると、爽やかなグリーンと日本海や北アルプスの大パノラマを楽しめるけれど、やはり紅葉の雨飾山は数えきれないほどの登山者を引き寄せる。人気すぎて、紅葉ピーク時の土日は、登山口へのアクセスに制限を設けるほどだ。
雪さえ積もっていなければ、この山では「女神様」にも会えるという。私が雨飾山の女神に出会ったのは、雪が降り始める直前、10月末のことだった。
◼️累積高低差は1,100m強の中上級者向きルート
この日は、紅葉のピークを過ぎた時期だったうえに、平日を選んだので、登山者の姿は少なかった。例年、10月末というと、山頂周辺が真っ白でもおかしくない時期だけど、2022年は雪が降り始めが遅く、山頂周辺の日陰に数㎝ほどの積雪が見られるくらいだった。天気は見事な晴れ、風もない。少し肌寒く、空気がおいしい。まさに秋晴れの登山日和だ。
一緒に登ってくれた仲間は、仲良し山岳ガイドの伸也さんと、その親友の栗田さん。じつは、伸也さんは雨飾山の麓の生まれ育ち。今は登山道を整備したり、ガイドとして山の案内もしたりと、要は雨飾山のプロだ。
私たちが歩いた雨飾キャンプ場から山頂の往復ルートの距離は8㎞ほど、累積高低差は1,100m強。お散歩と言えるほど楽ではないし、雪が降る可能性もある時期であることも考慮すると、状況判断ができる中上級者向けの山と言えるだろう。