■低山とはいえ歩きごたえ十分なハイキングコース
続いてコースは、苔むした岩の間を抜けたりしながら、アップダウンのある登山道へと入っていく。木の根がむき出しになった箇所や狭い道、ぬかるんで滑りやすい場所もあるので注意して進んでいく。ところどころ、やぐら跡のような史跡も見られ、鎌倉の歴史を感じることもできる山道だ。
半僧坊を出発してから約30分ほどで、鎌倉市の最高地点である大平山(おおひらやま・標高159m)に到着する。山頂付近はひらけており、こちらも富士山を眺められる絶好の休憩ポイントだ。
■このコース一番の紅葉の見どころ、「獅子舞の谷」へ
鎌倉最高峰を制覇した後は、コース名のもととなった「天園」を目指して、山道を進んでいく。この呼び名は、かつて東郷平八郎が「天国の園に遊ぶよう」と形容したことに由来するそうだ。天園からはやや急な下りが続き、下り切ると分岐に到着する。分岐点に立つ「獅子舞 経由 鎌倉宮」と書かれた道標に従って進んでいこう。
分岐点から5分ほど歩くと、ついに鎌倉アルプスの紅葉の名所「獅子舞の谷」と呼ばれるエリアに到着する。辺り一面、色鮮やかなカエデやイチョウの巨木群に見舞われ、道の先や見上げる空も全て覆い尽くすような勢いだ。
進むにつれて周囲の色合いはどんどん変化していく。イチョウが群生するエリアでは、頭上から足元まで一面が黄色に染まり、まるで別世界に迷い込んだような気分になる。
また、この周辺が「獅子舞」と呼ばれるのは、「獅子岩」と呼ばれる岩があることに由来する。色鮮やかな紅葉に包まれながら獅子岩を探してみるのも楽しみのひとつだ。
この先ハイキングコースは、紅白の大鳥居が印象的な鎌倉宮や、禅文化を感じられる美しい庭園のある瑞泉寺へと続いており、どこをゴールに選んでも最後まで楽しむことができる。鎌倉には数多くの紅葉スポットがあるが、山道を歩かなければ出会えないこの絶景は、まさに訪れる価値は十分といえるだろう。
ぜひ、12月の晩秋には、鎌倉ならではの紅葉ハイキングを楽しんでもらいたい。
【天園ハイキングコース】所要時間
JR北鎌倉駅 (0:00) → 建長寺(0:20) → 半僧坊(0:40) → 大平山 (1:00) → 天園 (1:05)→ 獅子舞分岐(1:10) → 獅子舞の谷(1:15) → 鎌倉宮(2:00)
歩行距離:約5.8km
合計所要時間:2時間
●施設名 臣福山(こふくさん) 建長寺
住所:〒247-8525 神奈川県鎌倉市山ノ内8
拝観時間:8:30〜16:30
拝観料:大人500円・小中学生200円
ホームページURL:https://www.kenchoji.com/
※営業日時はホームページよりご確認ください