“冬の絶景”と聞くと、北海道や北アルプスを思い浮かべる人も多いだろうが、今回紹介したいのは、群馬県にそびえる日本百名山「赤城山(あかぎやま・標高1,827.6m)」だ。首都圏から車で2時間半ほどでアクセスできる立地にありながら、冬にしか見られない景色を間近で体感できる人気スポットになっている。
本記事では2025年1月に筆者が赤城山を訪れた際に出会った、極寒の世界が魅せる“氷の芸術”をレポート形式で紹介する。
■「青白い氷の造形美」 凍てつく大自然のアート「小滝の氷瀑」
赤城山の南側にある「小沼(この・こぬま)」から流れ出る粕川(かすかわ)の源流に、冬の間だけ姿を現すのが「小滝(こたき)の氷瀑」だ。「氷瀑」は読んで字のごとく、「流れが凍りついた滝」で、氷点下の日が続くことで少しずつ大きく成長していく。
自然の産物であり、水量や気象条件により形や大きさが変わるのだが、その時、その瞬間にしか見られない“芸術”を求めてたくさんの人が訪れる。
標高約1,340mに位置する小滝は、厳冬期には巨大で青白い氷の柱へと変貌する。数メートルとそう大きくはない川幅を超えて、崖を作る地層の隙間から滴る地下水も凍りついて一緒に成長し、筆者が見たときには幅20m、高さ10mほどの青白く輝く氷柱群となっていた。崖一面に広がる無数の氷柱はまるで氷の神殿のようで、その迫力と美しさに息をのんだ。
小滝の氷瀑は、小沼駐車場から片道約2.1km、歩いて40分ほどで行ける手軽さも魅力だ。ただし、小滝の氷瀑へ続く谷へと下りる道は急傾斜で滑りやすい。必ず軽アイゼンなどの滑り止めを装備しよう。
■「氷の神秘」小沼で見つける「小さな芸術・アイスバブル」
小滝の氷瀑への入口である「小沼」は、もう一つの神秘的な絶景「アイスバブル」の鑑賞スポットでもある。「アイスバブル」は、湖底で発生したガスが水面に向かって上昇する際に、湖面が完全に凍りつくことで、気泡が氷の層の中に閉じ込められる現象だ。北海道の阿寒湖などが有名だが、実は関東でも楽しめる。
隣の「大沼(おの・おおぬま)」でも見られるが、ワカサギ釣りなどの観光客も多いため、筆者は静かにアイスバブル探しができる小沼を選択した。
アイスバブルは、水の透明度やガスの発生、凍りつくタイミングが揃わなければ出現しない。この日一番乗りだった筆者は、凍った小沼の上を慎重に歩き、湖面に積もった雪を払いながらアイスバブルを探した。
毎年1月頃には登山アプリなどで、歩いたコースや見つけた位置情報が報告され始めるため、あらかじめ確認しておき、自分の位置情報と照らし合わせながら探すと見つけやすいだろう。
一人黙々と登山アプリに公開された情報をもとに探すこと約30分、無事にアイスバブルを発見できた。後続の人たちは筆者の足跡をたどり、一直線にアイスバブルまでやってくるのだが、何とも言えない複雑な気持ちだ……。
見つけたアイスバブルは、数ミリほどの気泡が無数に氷の中に閉じ込められたものだった。透き通った氷の中に気泡が何層にも重なり、湖の中へと続いていく様子は、立体感もあり、湖に吸い込まれるような不思議な美しさを感じさせてくれた。
写真ではこの美しさがうまく伝えられないので、ぜひ自身の目でその美しさを感じてもらいたい。
小沼のアイスバブルは、近ければ駐車場から歩いて5分程度の場所でも見つけられる可能性もある。運次第のところもあるが、短時間で“氷の芸術”を楽しめるのでぜひチャレンジしてほしい。なお、アイスバブルを堪能した後は、ゆっくり湖畔でのスノーハイクもいいだろう。富士山の撮影スポットもあり、小沼と霧氷、富士山の冬景色も楽しめる。