関東平野にそびえる筑波山は、日本百名山にも数えられる人気の山である。標高は877mでいくつもの登山コースがあり、ケーブルカーやロープウェイも整備されているため、初心者からベテランまで幅広い登山者が訪れる。そんな筑波山に、いつもとは一味違う登り方を提案したい。それが「サイクリングと登山」を組み合わせた新しい楽しみ方である。
■土浦駅から始まる、新しい筑波山への旅
出発地はJR常磐線・土浦駅である。東京から特急でおよそ1時間とアクセスの良さが魅力で、駅直結の商業施設「PLAYatré TSUCHIURA」には、日本最大級のサイクリング拠点「りんりんスクエア土浦」が整備されている。ここではクロスバイクやロードバイクのレンタルがあり、サイクリング初心者でも気軽に利用できる。駅からほど近い「つくば霞ヶ浦りんりんロード」に乗れば、筑波山麓まで快適な自転車旅ができる。
この道は旧筑波鉄道の廃線跡を活用したサイクリングロードであり、土浦から筑波山方面の岩瀬までの約40kmにわたって続いている。信号も少なく走りやすいため、のんびりと風景を眺めながら走るのに最適である。土浦駅から筑波山の麓まではおよそ20km。道の多くは平坦であり、脚力に自信のない人でも十分に走破可能である。田園地帯を抜けると、次第に正面に筑波山が大きく姿を現す。その迫力ある山容が、ライドの疲れを吹き飛ばしてくれる。
■登山で仕上げる「二段構え」の達成感
麓に到着したら、いよいよ筑波山の登山である。標高自体は高くないが、男体山と女体山の双峰に分かれており、岩場を交えた多彩なルートを歩けるのが魅力だ。体力に合わせてケーブルカーやロープウェイを利用することもできる。山頂からの眺望は格別である。関東平野を一望でき、条件が良ければ富士山や東京スカイツリーまで視界に収めることが可能だ。自転車で走り、さらに自分の足で山頂に立つという二段構えの体験は、従来の筑波山登山では味わえない達成感をもたらす。