山にはたくさんの巨岩・奇岩スポットがある。日常では見ることができないような、大迫力の大きな岩をトレッキングとともに楽しもう。

 第1弾として、茨城県の筑波山と群馬県の妙義山を紹介したい。

■筑波山(つくばさん) 数々の巨大な岩が鎮座する「茨城県の霊峰」

見どころ! 
道中にいくつもある奇岩群が歴史ある霊山だということを感じさせる

所在地:茨城県 
標高:877m
高低差:335m
歩行距離:4.7km 
歩行時間:3時間
アクセス
 電車:つくば駅下車後シャトルバスに乗り換えて40分
 車:常磐自動車道・筑波中央ICから約40分

おたつ石コースの終盤に待ち構える「弁慶の七戻り」。弁慶ですら7回戻ったという逸話から名付けられている

●ひとつのルート上にいくつもの名物岩がある

 筑波山は筑波市の北端にある単独峰で、山頂にある双峰、男体山(標高871m)と女体山(877m)からなる山の総称だ。それほど高くない標高ではあるが「西の富士、東の筑波」と称されるほどに美しい山容で、日本百名山の一座にも選定されている。

女体山山頂からの景色。筑波の街を一望する眺望の良さ

 筑波山ロープウェイつつじが丘駅から延びる登山道、おたつ石コースを歩くと、不思議な景色に出会える。ここは道中にたくさんの巨岩、奇岩があるコース。空に向かって大きな石が突き出た「北斗石」や、大黒様が大きな荷物を背負っているように見えることから名付けられた、「裏面大黒(りめんだいこく)」など、見どころがたくさん。

筑波山の観光名物、紫峰杉

 なかでも登山道の終盤にある「弁慶の七戻り」は圧巻だ。大きな岩が、岩と岩の間に挟まり洞窟のように細長い道を形作っている。登山者はその下を通り抜けるという、ちょっとしたスリル体験アクティビティのようだ。

麓から見ると単独峰のようにも見えるが八溝山地の最南端に位置する

 ここを通り抜ければ山頂はもう目の前。難しくない山なので、ハイキング感覚で巨岩を巡れる。

●登りでロープウェイを使うのもアリ

約6分で女体山山頂まで一気に頂上まで上がれる

 体力に自信がない人や、もっと気軽にハイキングを楽しみたいという時は、登りでロープウェイを使うのもあり。乗車時間約6分で女体山山頂まで一気に頂上まで上がれるので、山頂を周遊し、下山ルートで岩を巡ろう。

 

■妙義山(みょうぎさん) 大きな石門が登山者を迎える「上州の奇勝」

見どころ! 
幾重にも連なる石門群と赤、黄色に染まったカラフルな紅葉のコントラスト

所在地:群馬県 
標高:885m
高低差:160m
歩行距離:1.2km 
歩行時間:1時間
アクセス
 電車:信越線・松井田駅からタクシーで約10分
 車:上信越自動車道・松井田妙義ICから約5分

登山者を出迎える大きな第四石門。その向こうには奇岩「大砲岩」も見える。写真を撮るならこのアングルが定番だ

●岩が剥き出しの山塊 春は桜、秋は紅葉の名所

 群馬県の北西にある妙義山は山頂部がギザギザした岩の塊でできており、その山容は日本三大奇勝のひとつとされるほど。妙義山の人気は4つある大きな石門巡りだ。

山頂部の岩場は上級者コース。急峻な鎖場が続くので高難度

 妙義公園管理事務所から延びる石門群登山道を行けば、およそ1時間半で巡れる。

 まず見えてくるのは第一石門。これは頭上にあり、大きな岩の壁に窓のような穴がぽっかりと空いている不思議な岩。眺めるだけで、その穴を通ることはできない。その次は第二石門だ。岩に細長い切れ込みが入ったような岩で、鎖場を経由して通る必要がある。鎖に不慣れな人は巻き道を通ることもできる。第三石門もその先にある。

紅葉が美しいので、秋がとくにオススメだ

 そして、妙義山の一番の見どころは最後に待ち構える第四石門だ。大きな岩山がぽっかりと穴を開け、向こう側の景色まで広々と見渡すことができる。それはまさに岩の門という以外形容できない。妙義山でしか見ることができない絶景となっている。とくに秋は木々の紅葉と剥き出しになった岩のコントラストが素晴らしい。

日が暮れるまで見ていても飽きないという「ひぐらしの景」は第四石門近くにあるので立ち寄りたい

●創建819年の中之嶽神社を参拝

中之嶽神社

 下山口には中之嶽神社、中之嶽大国神社の2つの神社があり、中之嶽神社には小槌ではなく、剣を持った珍しい大黒様が立っている。高さ20m、重さ8.5トンと日本一の大きさであり、ご利益と厄を払うありがたい神様だ。