◼️石丸峠を下り始めてからがハイライト
森を抜け、大菩薩峠に出ると静かな山歩きが一転、急に登山客が増えて賑やかな山に変わります。この峠には介山荘という山小屋があり、手軽に富士山の絶景が楽しめる百名山のひとつ、大菩薩嶺を目指す登山者で賑わっています。
しかし、その賑わいも富士山を眺めながら気持ちの良い笹原の稜線を歩く30分ほどだけ。石丸峠から牛の寝通りに向かうと、また静かな山が戻ってきます。
◼️こんなハイキングルート、他ではなかなかお目にかかれない
石丸峠の分岐の先で1時間半ほどかけて標高を二度ほどグッと落としてからが、このルートのハイライトです。榧ノ尾山(かやのおやま・標高1,429m)の手前あたりから大マテイ山(標高1,409m)までの2時間ほどは、ほとんどアップダウンのない快適な稜線歩きが続き、そこかしこで美しい紅葉が見られるのです。
抱えきれないほど太い幹を持つブナの巨木に、色とりどりの葉を広げたカエデが混生する景色の素晴らしさといったら、言葉で説明するのが難しいくらいです。こんなハイキングルート、他ではなかなかお目にかかれません。
取材陣が歩いた11月の1週目は、1,600mほどから下が紅葉の見頃でした。11月の半ばくらいまでは、紅葉が楽しめそうです。
美しく色づく山肌を眺めたり、色づいた稜線が遠くまで延びる景色の中を歩くのも良いものです。しかし、牛の寝通りは “紅葉の中”を歩き続けられるひたすら気持ちの良いルート。きっと、今まであなたが経験したことのない、記憶に残る紅葉登山になることでしょう。
<計画時の注意点>
・累計標高差が大きく、行動時間は長め。特に日の短い秋冬は余裕を持った計画が必須。中上級者向き
・熊対策&最新情報の収集は必須。単独行は避けること
・11月上旬現在、すでに朝夕は霜がおりるほど冷え込みが厳しい。防寒対策をしっかりと
・車を2台使うなど、交通手段を工夫する必要あり
・狩場山の手前で小菅川へと下る「狩場巡視道」が出てくる地図もあるが、荒廃していて滑落、道迷いの危険が大きいため、使わない方がベター
・小菅村か鶴峠を起点に大マテイ山周辺を歩くだけでも十分楽しめる。初級者にはこちらの方が安全でおすすめ
・フルコンバの水場は斜面を見下ろして左手。見つけにくい。枯れることあり
・下山後は急いで帰らず、小菅村や丹波山村の民宿でのんびり後泊するのもおすすめ