高水三山(たかみずさんざん)は、東京都青梅市に位置する奥多摩エリアの代表的な縦走コースである。「高水山(たかみずさん・標高759m)」「岩茸石山(いわたけいしやま・標高793m)」「惣岳山(そうがくさん・標高756m)」の三山を結ぶルートで、しっかりとした山歩きを楽しめるのが魅力。首都圏から電車でアクセス可能な立地にありながら、豊かな自然と本格的な縦走感を味わえるため、多くの登山者に親しまれている。

 登山道は整備されており、道標も明瞭なので縦走デビューにも最適だ。それでいて適度なアップダウンと変化の多い景色によって、中級者からも多くの支持を得ている。特に新緑の時期や秋の紅葉期は、木々の美しさに心を奪われるだろう。

 山頂からの展望、歴史ある山岳信仰の寺院、苔むした静寂の森など、およそ東京とは思えない深い自然を味わいに、高水三山縦走へ出かけよう。

■高水三山縦走コースの紹介 

軍畑駅から御嵩駅へと結ぶ高水三山の登山コース(国土地理院地図より引用)

●JR青梅線軍畑駅へのアクセス

 高水三山は「軍畑駅(いくさばたえき)」から登山を開始し、「御嶽駅(みたけえき)」に下山する、駅と駅とを結ぶ縦走スタイルが一般的。JR青梅線を利用するのがおすすめだ。都心からであれば、新宿駅から青梅駅を経由し、約90分で軍畑駅に到着する。下山後は隣駅の御嶽駅から青梅線で帰ることができ、非常に効率的。

 車利用の場合は、起点か終点のどちらかに車を停めておく必要がある。御嶽駅周辺にはコインパーキングがいくつかあるため、御嶽駅近くに車を停めて電車で軍畑駅に移動してから登山を開始するのもひとつの手だ。

■東京の大自然を満喫する高水三山縦走!

高水山を過ぎた稜線上より、奥多摩の山々を望む

●軍畑駅から慶徳寺を経て、高水山へ

 JR軍畑駅で下車し、改札を出て住宅街を抜けるとすぐに登山道の入口が現れる。登山口付近にある「慶徳寺(けいとくじ)」は立派な山門が目を引く静かなお寺で、登山前に気持ちを整えるにはぴったりの場所。境内を抜けるようにして山道へと入ってゆく。

 序盤は杉林の中をゆるやかに登っていき、ゆっくりと山の中へと入っていく実感が得られることだろう。体力に自信がない人でも途中にベンチや休憩ポイントがあるので安心して歩を進められる。

 高水山の山頂手前には歴史ある「常福院(じょうふくいん)」が静かに佇んでいる。山岳信仰の対象として古くから親しまれてきたこの寺院は、厳かな雰囲気を放ち、どこか神秘的な空気を感じさせてくれる。

高水山不動尊「常福院」で安全登山のお参りをしよう

●高水山と岩茸石山を結ぶ稜線を進む

 高水山山頂を過ぎて下っていくと再び登りのパートに入る。このあたりから稜線に出て、視界が開けるポイントも増えてくる。登山道もやや岩が多くなり、山歩きらしい変化が楽しめる。

 およそ40分で到着する「岩茸石山」は、標高793mと高水三山の中で最も高い山。山頂は広く開けており、晴れていれば関東平野、スカイツリー、富士山まで見渡せる絶好の展望スポットだ。お弁当を広げて昼食をとる人も多く、ベンチも設置されているので休憩には最適。この地点がコースの中間地点となる場所なので、しっかりと休息をとり、次の惣岳山に向けてエネルギーをチャージしよう。

岩茸石山の山頂から、視界いっぱいに広がる山並みを満喫